明治維新から学ぶもの~改革への道
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
幕末から明治維新への流れを振り返る
明治維新から学ぶもの~改革への道(2)明治維新政府の発足
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

講義一覧を見る▼
慶応3(1867)年の大政奉還から明治4(1871)年の廃藩置県までは、幕末から維新へのターニングポイントである。大政奉還により無血開城を成し遂げた徳川慶喜がなぜ鳥羽・伏見の戦いに向かうのか。時代の大転換と新体制の樹立についてクイックレビューする。(2018年11月13日開催島田塾講演「明治維新とは:新たな史観のこころみ」<後編>より、全22話中第2話)
時間:7分22秒
収録日:2018年11月13日
追加日:2019年4月19日
≪全文≫

●「大政奉還」が意味したのは、慶喜中心の公儀政体


 前回のシリーズレクチャー(「明治維新とは~新たな史観の試み」)で幕末を詳しくレビューしましたが、未見の方もいると思いますので、明治維新に至るまでの流れをざっと振り返ってみます。

 直接的なエポックは、慶応3(1867)年10月14日に徳川慶喜が「大政奉還」を朝廷に申し出たことです。幕末の極まるハイライトがこれで、明治維新になります。ただ、維新になったとはいえ、体制がどう変わるかはよく分かっていなかった。世界中の人が驚いたのは、明治4(1871)年7月14日に「廃藩置県」が行われた時で、「よくこんなことができた」というほどの、明治維新の達成した確たる事実です。

 その1867年から1871年のおよそ4年間が、非常に重要な期間として大変な激動を起こします。

 まず、大政奉還では徳川慶喜が幕府という制度を放棄して朝廷に国政の責任を委ねたのですが、そうなると朝廷には政治能力がないので、実権は全て慶喜に集まります。したがって、有力諸藩の合議による体制(公儀政体)を行うしかありません。全国3000万石のうち800万石は慶喜の配下にあり、優秀で外交経験も豊富な官僚が多数、彼を支えていました。圧倒的な力を集めていたため、「大政奉還します。公儀政体をつくります」となると、自然に慶喜による近代化推進になってしまいます。


●薩長の対抗策「王政復古の大号令」と最初の小御所会議


 これを絶対許せないのが薩長の立場です。かなり強引ながら、大久保利通が王政復古派の貴族(公家)を集めて、12月9日「王政復古の大号令」を発出します。新政府最初の会議として小御所会議を開いて、徳川慶喜のいないところで「辞官納地」を定めます。慶喜に全官職を辞任させ、持っている土地の全てを提供させるという決定です。

 席上、四国の山内容堂が「待ちなさい。なぜそんな勝手なことを言っているのか。大体、本人がいない所で勝手に決めるのはよくないのではないか」と言い出したため、一旦休会になります。議論の経緯を見ていた若手が、小御所の建物外で防備隊長を務めている西郷隆盛にこれを伝えると、西郷は「そんな話は、匕首(あいくち)一本で足りるだろう」と言ったとされます。これは完全な恫喝ともいえるもので、山内側にもすぐ伝わります。結局、再開後の会議では山内や松平春嶽らの徳川擁護派もおとなしくなり、大久保...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
人類の祖先たちの「出アフリカ」…その時期はいつ頃?
斎藤成也
イスラエルの歴史、民族の離散と迫害(1)前編
古代イスラエルの歴史…メサイア信仰とユダヤ人の離散
島田晴雄
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(26)ソニー流!多角化経営と人材論
ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
組織心理学~「不満」を生かす(1)不満・相談・予防
職場への不満は6割以上~ポイントは隠蔽、心理的安全性…
山浦一保
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤