明治維新から学ぶもの~改革への道
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奥羽越列藩同盟はなぜ新政府と戦ったか…東北戦争の経緯
明治維新から学ぶもの~改革への道(5)東北戦争
歴史と社会
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

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慶応4(1868)年の江戸城無血開城後、各地で激しい内戦が繰り広げられた。特筆すべきは東北戦争である。京都守護職として幕末の京都で治安を担当していた会津藩主松平容保を朝敵と断じる薩長新政府と、断罪に納得できない東北諸藩の間に生じた争いは、さまざまな確執をはらみ、北越六藩も巻き込んでゆく。(全22話中第5話)
時間:16分01秒
収録日:2018年11月13日
追加日:2019年4月24日
≪全文≫

●会津藩主松平容保は死罪に値するかが問われた東北戦争


 さて、明治は始まりましたが、そう簡単には始まらず、「東北戦争」という大きな内戦がありました。その話をします。

 東北は、奥羽が米どころであるため、力のある諸藩が多い。仙台藩も力のある雄藩ですし、何より会津藩が名門として力を持っていました。しかし、まさか誰も奥羽が戦場になるとは思ってもみなかったのです。朝廷の権威で会津藩が恭順するのではないかという観測がありました。

 力のある仙台藩は、自己主張もします。「なぜ会津藩が特別な処罰を受けなければいけないのだ。会津藩は、たまたま徳川将軍の懇請を受けて京都守護職を務めただけではないか。何の問題があるのだ」と、藩主・伊達慶邦が官軍に申し立てたわけです。

 奥羽鎮撫総督の下では、慶応4(1868)年2月に薩摩藩の強硬派である大山綱良が鎮撫使の任につき、3月初めには長州出身の世良修蔵が参謀として実権を握ります。これがかなり残酷な人物で、会津藩に対しては強硬派として厳罰処分を要求します。

 要求は、具体的には会津藩主・松平容保の死罪ですが、恭順する徳川慶喜が穏やかな処遇を受けているのに、京都守護職の任務を担っただけの名将・容保がなぜ死罪なのか。東北人にとっては疑問でした。

 この頃、西郷隆盛はどうしていたかというと、東征軍司令官として北上している最中で、まだ関わっていません。この頃から少しずれていたのか、事態の中心にはいませんでした。


●仙台・米沢両藩の会津救済嘆願、功を奏さず


 鎮撫使一行は、3月23日に仙台に入ります。鎮撫使の世良は仙台藩に対し「早く出兵して、会津を懲らしめろ」と要請します。止むを得ず1000人ほどを会津藩境に送りますが、戦争する気はありません。鎮撫使が強請してくるため、仙台藩、米沢藩、会津藩が頻繁に接触して、なんとか戦争をしないで済む方法はないかと議論したのです。

 この時、仙台藩主の伊達慶邦が世良に面会しています。「会津藩が謝罪したいと言っているから、その周旋をしたい。謝罪の条件は、どうなるか」と質問したのに対して、世良は聞くまでもなく激怒して「容保の斬首と開城」の線を譲りません。

 仙台・米沢両藩は、あまりに過酷だと見て修正案をつくります。「開城、減封、重臣の首級三つでは、どうか」。これには会津藩が、「いや、のめない」と拒否します。
...

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