明治維新から学ぶもの~改革への道
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
岩倉使節団が派遣された目的と得たものとは
明治維新から学ぶもの~改革への道(13)岩倉使節団の見聞
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

講義一覧を見る▼
岩倉使節団は、明治4年11月から明治6年まで、アメリカおよびヨーロッパ諸国に派遣された。正使は岩倉具視、政府首脳や留学生を含む一行は110名。彼らがアメリカ、そしてヨーロッパを歴訪し、現地で行ったこととは。(2018年11月13日開催島田塾講演「明治維新とは:新たな史観のこころみ」<後編>より、全22話中第13話)
時間:9分53秒
収録日:2018年11月13日
追加日:2019年4月27日
≪全文≫

●「大隈使節団」構想を横取りした?岩倉一行


 岩倉使節団は、明治4(1871)年11月12日、横浜港から太平洋会社アメリカ号で出帆します。使節50名、随員60名の合計110名の一行の中に、7歳の津田梅子も入っていました。

 これは、もともと大隈重信が発案した派遣計画でした。「やがて条約の改正の交渉が必要になってくる。そのために私が状況を見に行こう」と言っていたのが、背後で岩倉具視に画策されたのです。大隈はフルベッキというオランダの専門家に知恵を借りましたが、彼のプランを手に入れた岩倉が大隈つぶしを企み、先回りをしたわけです。

 ただ、大隈の使節団は20人程度の予定でした。なぜ110人も連れて行ったのか。大久保利通と木戸孝允が長期間政府を留守にするのを極めて不安がるため、大隈は留守政府を西郷隆盛に任せようと考えていました。しかし、自分の言い出した大隈使節団が立ち消えになるのであれば、むしろできるだけ多くの人間を外へ出してしまった方がいい。つまり、鬼のいない間にどんどん改革してしまおうというのが、大隈のなかなかしぶといところでした。

 留守にするに当たって岩倉使節団は留守政府との間に約定を締結し、調印します。内地の事務は、大使の岩倉たちが帰国の上で大いに改正するつもりであるから、特別、新しい改正はしないという約束です。しかし、実際には全然そうはなりません。彼らがいなくなった途端に学制改革、地租改正、徴兵令の施行、身分制改革などが、矢継ぎ早に実施されます。

 その背景には、当初の予定では10カ月半だった使節団の派遣期間が1年10カ月にも延びたことがあります。しかも、木戸も岩倉もタガが外れたのか、もっと遅れて帰ってくることになります。一方、留守政府では、井上馨と司法卿になった江藤新平、文部卿・大木喬任の政治対立が、大蔵省と司法・文部省の対立として表面化していきます。


●サンフランシスコの「日の丸演説」と条約改正


 使節団の目的は、条約改正のためではなく、やがて条約改正のときが来るので、欧米の実情を見聞しておこうということでした。明治4(1872)年12月、一行は初めてアメリカ大陸を遠望し、やがてサンフランシスコのゴールデンゲートを過ぎます。非常に感動的だったようです。

 伊藤博文という人物は妙な人で、幕末に長州藩からイギリスに秘密留学した期間は短かったものの、「周旋屋」のあだ名の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(1)家斉が長期政権を維持できた理由
11代将軍・徳川家斉が50年もの長期政権を築けた理由
山内昌之
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男
概説・縄文時代~その最新常識(2)縄文時代の開始時期に関する三つの説
縄文時代の始まりはいつから?…三つの説の特徴とは
山田康弘