明治維新から学ぶもの~改革への道
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
大久保利通の暗殺と明治十四年の政変
明治維新から学ぶもの~改革への道(20)近代国家をめざして
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

講義一覧を見る▼
西南戦争・台湾出兵以降、殖産興業を中心とする国づくりが進められる中、大久保利通が不平士族により暗殺される。すると、内務卿を伊藤博文が後継して、伊藤・大隈重信・井上馨による三頭体制となり、福沢諭吉もしばしば国政参加を求められる。よくも悪くも近代日本は滑り出していた。(2018年11月13日開催島田塾講演「明治維新とは:新たな史観のこころみ」<後編>より、全22話中第20話)
時間:10分24秒
収録日:2018年11月13日
追加日:2019年5月4日
≪全文≫

●漸進論に基づき、殖産興業に力を入れた大久保利通


 シリーズレクチャーも最後の方に近づいてきました。近代国家をめざした大久保政権ですが、明治六年政変以降の大久保利通は、卓抜たる指導力を発揮していきます。

 明治6(1873)年11月、大久保は「政体に関する意見書」を起草します。日本は半ば開化しただけで、当面は君主政治を維持しつつ、次第に君民政治に移行させるべきだという漸進論です。

 大久保はまた、「殖産興業」に最も力を入れています。イギリスを見た大久保は、岩倉使節団の中でも工業振興の必要性を最も痛切に感じた人物だったようです。帰国後、先述した「意見書」に続き、明治7(1874)年には「殖産興業に関する建議」「地租軽減の建議」「行政改革の建議」を矢継ぎ早に出していきます。当時の内閣は、一応は組織の体裁を取りながらも、指導者が自ら率先垂範していました。実に見事なものです。

 また天皇についても、あるべき天皇像としてヨーロッパの皇帝をイメージしていました。明治新国家の建設、国民統合のシンボルとして、天皇の役割が強く意識されていました。

 このように、大久保は八面六臂の活躍をしました。地租民費削減令、第十五国立銀行開業、三田育種場設立、戦費補填のための予備紙幣発行、第2回地方官会議などなど、これは明治9(1876)年の事例を並べましたが、ほとんど毎月のように大きな仕事をしています。


●維新十年を振り返った夜の紀尾井坂襲撃


 明治11(1878)年4月10日、指導者として多忙を極めていた大久保は、第二回地方官会議を開きます。5月14日、挨拶に来た福島県令・山吉盛典に対して大久保は次のように言っています。

「維新以来十年、外政、内乱、一揆など、自分は内務卿なのに東奔西走。海外にも行き、何もできなかった。今、ようやく落ち着いたので、これからと思うが、三十年はかかるだろう。今までの十年は創業期だ。これからの十年は第二期だが、最も重要である。内治を整え民産を殖するはこの時だ。私は全力を尽くすつもりだ。その後十年は第三期で、これは後進に委ねよう。第二期は土木も移民開拓も絶対に成功させねばならない」

 そして、大久保は馬車で家を出ます、紀尾井坂を通りかかった時に6人の刺客が襲ってきました。襲ってきたのは、石川県士族・島田一良ら。彼らの凶弾に斃れた大久保は無残な姿で、頭はザクロのようになって...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(2)民意は本当に反映すべきか
デモクラシーとエリート主義の限界…立憲主義と共和主義
齋藤純一
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
医療から考える国家安全保障上の脅威(1)「非対称兵器」という新たな脅威
フェンタニルの麻薬中毒も意図的な戦略?非対称兵器の脅威
山口芳裕