明治維新から学ぶもの~改革への道
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
蝦夷地を占領した「榎本政権」の二つの誤算
明治維新から学ぶもの~改革への道(6)榎本海軍と北海道の戦い
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

講義一覧を見る▼
榎本武揚率いる旧幕府海軍は、戊辰戦争の最後を飾る一幕となった。勝海舟から東北戦争に関わらぬよう忠告された榎本は仙台に立ち寄り、多数の将兵を収容し、蝦夷地へ向かう。瞬く間に函館を占領した彼らは、事実上の政権を成立させるが、二つの誤算が「天皇政権の藩屏」を目指す榎本軍の行く手を阻む。(2018年11月13日開催島田塾講演「明治維新とは:新たな史観のこころみ」<後編>より、全22話中第6話)
時間:5分28秒
収録日:2018年11月13日
追加日:2019年4月27日
≪全文≫

●榎本海軍、品川沖から仙台へ


 一方、江戸開城の4月11日夜半に品川沖から脱走した榎本武揚率いる旧幕府海軍は何をしていたか。

 4月19日になり、東海道先鋒総督府から田安(徳川)慶頼に、「主家を思う至情に感心」して榎本の願いを入れ、軍艦のうち4隻を榎本に与えます。他の4艦は朝廷に差し出すように、と譲歩があります。榎本は、それを受け止めますが、追撃される可能性を低めるため、性能の良い艦は引き渡しを避けようとします。勝海舟が間に入って調停したため、これは事なきを得ます。

 榎本たちはこの後、蝦夷地へ向かいますが、一枚岩の体制ではありませんでした。多くの者が東北諸藩を助けたいと願っていたからです。しかし、勝が榎本に忠告を与えます。

 「会津藩を信ずるな。東北諸藩は勝つ見込みがない。東北諸藩と同調して政府軍と戦うと朝敵行為になる。徳川家の存続が保障された今、それは意味のない行為だ」

 そのため、榎本はある意味で、東北を見捨てることになります。ただ、9月初旬に榎本艦隊が仙台に入港したため、多くの将兵がそれを聞きつけて、同乗を願いました。榎本一行は2500名にも膨れ上がります。


●蝦夷地を占領した「榎本政権」の抱いた理想


 明治元年10月20日、榎本艦隊は、雪に埋もれた蝦夷地の鷲ノ木に到着します。あえて函館から400キロも離れた寒村を選んだのは、函館にいる政府の守備隊を刺激しないためでした。上陸した榎本軍は二手に分かれます。今は温泉で著名な湯の川方面へ向かったのは新選組の土方歳三隊、大沼方面へは大鳥圭介隊です。この頃、函館の政府軍は約1500名による防御体制を取っていました。

 函館の戦争は政府軍の夜襲に始まりますが、榎本軍はたちまち政府軍を圧倒します。なんといっても新選組をはじめとする歴戦の勇者ぞろいであり、戦意の高い集団だったからです。五稜郭と函館を制圧し、陸軍部隊は多大な戦果を挙げます。ただし、海の方では得意の軍艦が嵐にあったり座礁したり、あまり見る影がありませんでした。

 とはいえ1カ月ほどで、榎本軍は蝦夷地を占領し、榎本王国建設のための行政機構を整備します。事実上の「榎本政権」がここに誕生したわけです。ただし、榎本政権は独立国をつくるつもりはありません。榎本が求めていたのは、天皇の政権を認め、いわば蝦夷地の徳川藩として、天皇政権の藩屏の地位に甘んじることでした。
...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史(1)厚木飛行場に降り立った占領者
敗戦した日本の武装解除はなぜ無血だったか…その背景とは
島田晴雄
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
昭和の名将・樋口季一郎…ユダヤ人救出編(1)決断と信念のユダヤ人救出
毅然として人道を貫き、命を救う…樋口季一郎のユダヤ人救出
門田隆将
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(23)上半期人気ランキングBest30
【編集部ラジオ】令和8年上半期人気ランキングBest30
テンミニッツ・アカデミー編集部
老子の神髄(9)ウェルビーイングと東洋思想
ウェルビーイングを東洋思想でどう考えるか?…大事な二つの教え
田口佳史
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(4)5人の皇帝と現代中国
特筆すべき5人の皇帝…中国史を知らなければ現代中国もわからない
宮脇淳子
中国春秋戦国時代と始皇帝(3)戦国時代初期――戦国七雄と合従連衡
戦国七雄とは?合従連衡とは?…各国の勢力拡大と小国家の運命
鶴間和幸
日本の財政の真実を検証する(4)日本の台所事情と財政の本義
「1秒間に41万円?」…この数字はいったい何を意味するか?
宮本弘曉
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
錚々たる大名たちを指南…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
ウェルビーイングを高めるDE&I(1)人と組織を取り巻く環境変化:前編
人材はコストではない!人的資本経営が注目されている背景
青島未佳