明治維新から学ぶもの~改革への道
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
朝鮮使節派遣問題に端を発した明治六年政変
明治維新から学ぶもの~改革への道(15)明治六年政変
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

講義一覧を見る▼
明治六年政変の発端は、岩倉使節団の外遊中に起こった李氏朝鮮との外交をめぐる西郷隆盛の朝鮮使節派遣問題であった。帰国後、戦争を実行するだけの経済力が日本にはないと考えた大久保利通は、会議の席上で征韓論反対の7カ条を主張する。西郷・大久保の両者とも朝鮮を征する意思はなかったのだ。(2018年11月13日開催島田塾講演「明治維新とは:新たな史観のこころみ」<後編>より、全22話中第15話)
時間:5分58秒
収録日:2018年11月13日
追加日:2019年5月4日
≪全文≫

●朝鮮との通商をめぐる齟齬と西郷隆盛の決断とは


 さて明治六年政変が起き、西郷隆盛が政府から退いていきます。西郷は「征韓論で負けた」のが定説ですが、実際はニュアンスが違います。

 朝鮮の釜山に東莱(とうらい)府という場所があり、鎖国以降も日本の対馬藩との外交・通商の窓口となっていました。明治新政府は、王政復古と開国を李氏朝鮮に伝える際、引き続きここに大日本公館をつくり、三井の手代に商売をさせたい旨、申し入れていました。

 韓国政府はこれを認めず、許そうとしません。その意向を無視して強引に外交や通商を始めていくので、朝鮮側の反発があり、大日本公館門前に抗議文が掲出されます。「日本は西洋の制度や風俗を真似て恥じることがない。交易は対馬商人以外に貿易を許していないのに違反した。日本は『無法の国』というべきである」という文言でした。

 これを見た日本の外務少輔・上野景範が、一大事であるとして太政官に審議を要請します。審議の結果、正院閣議の原案は武力解決。「居留民保護のため、陸軍若干、軍艦数隻、軍事力を背景に公理公道をもって談判に及ぶべし」と言いました。板垣退助は賛成、西郷は反対。西郷が「まず使節を派遣せよ。非武装で、礼装の全権大使で行く。自らその任に当たる」と言い出したため、明治6(1873)年8月、閣議決定により西郷が朝鮮使節に任命されます。


●岩倉使節団を交えた判断もやはり「西郷朝鮮派遣」


 ちょうどこの頃、岩倉使節団から大久保利通が帰国します。海外での使節団の失態に意気消沈していた大久保はしばらく休暇を取ります。次に木戸孝允が帰国しますが、尾去沢・小野組のもみ消しに走っていて、政府の仕事を手伝う余裕がありません。かなりいい加減な内閣です。

 9月13日に岩倉具視が帰ってくると、太政大臣の三条実美が西郷から「閣議決定したのになぜ実行しないのか。1カ月も遅れるとはどういうことか」と詰め寄られているところでした。岩倉は、この際大久保に働いてもらおうと考え、休暇から戻ってきた大久保を参議に起用します。大久保は「岩倉・三条が変節しないなら」という条件で、参議に就任します。

 ようやく閣議が開かれると、メンバーではなく工部卿にすぎない伊藤博文が勝手に参加しているので驚きますが、政争に利用しようと目論んでいたようです。この席上で大久保が参議に認定される手筈でしたが...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久

人気の講義ランキングTOP10
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(6)認知症予防と健康寿命の延伸に向けて
フレイル・サイクルは回り出したら抜けられない!?負のスパイラルへの対処法
小川純人
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(2)「出挙」と国司の仕事
地元の有力者の力を借りるために大伴家持が詠んだ歌とは?…今も奈良時代も変わらない中央官僚と地元有力者の関係
上野誠
「満洲」から考える日本とアジア(5)ロシアのシベリア征服と日清日露戦争
「満洲利権」はなぜ日本の手に渡ったか?…ロシアの極東征服、そして朝鮮の混乱が日本を日清・日露戦争へ
宮脇淳子