田口佳史氏が、人材育成の重要性に触れ、今こそ日本は原点に戻って儒・仏・道・禅・神を活かした国家づくりをすべきだと提言する。また、明治期の大久保利通、伊藤博文の実行力と気力について、また、日本初の自動車をつくった男のエピソードを紹介しつつ、日本の能力を育んできた数々の「玄人」の意義を説く。(全2話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
幕末の人材論~逸材の素顔
今こそ大久保利通や伊藤博文のような「玄人」に学べ
幕末の人材論~逸材の素顔(2)日本をつくった「玄人」たち
歴史と社会
時間:7分51秒
収録日:2019年6月14日
追加日:2019年10月9日
収録日:2019年6月14日
追加日:2019年10月9日
≪全文≫
●原点に戻り、儒・仏・道・禅・神を活かした国家づくりを
―― 先生が教えてくれたその弟子の横井小楠も佐久間象山の構想が、これからという時に亡くなってしまうんですね。
田口 亡くなっちゃう。
―― そうすると、大久保利通も伊藤博文ももうしょうがなくて、
田口 岩倉使節団、あれしかなくなってしまった。
―― あれしかなくなってしまったんですよね。
田口 あれしかなくなっちゃったから洋魂洋才になってしまったんですよ。やはりそこで、もう1回、現代を考えるべきで、今もう1回日本の構造を建て直すべき時ですよ。
―― 今まさにそういうことですよね。
田口 そうですね。
―― 今やはり、比較的翻訳がうまかった日本が、つまり、仏教が入ってきても禅が入ってきても道教が入ってきてもうまく組み立てられた日本が、今ここでおかしくなっちゃいましたね。
田口 そうなんです。だからもう1回原点に戻るしかないということは、「儒・仏・道・禅・神道(儒教、仏教、道教、禅、神道)」に戻って、それを活かした国家づくりというものをするべきなんですよ。ちょうど150年前の明治維新というわれわれにはすごいモデルがあるので、そういう意味では横井小楠、佐久間象山などに学ぶべきです。横井からは日本の独自性を活かした国家とはどういうことかを学ぶ。佐久間には、第四次産業革命でAIとか人工知能とか入っている先端産業の技術を、どうやって得たらいいのか、使ったらいいのかを学ぶべき時ですよ。
―― そうでしょうね。
●大久保利通、伊藤博文が示した実行力
田口 それで実行係として大久保と伊藤がいるというすごさ。この2人の実行力ということについて、1つだけお話しして帰ろうと思いますが。要するに、岩倉使節団に加わって彼ら2人はアメリカに行きますね。そして、サンフランシスコで大歓迎を受けるんです。ちょうどその頃、大陸横断鉄道ができてそれでワシントンへ行くと、ワシントンでも大歓迎。時の大統領も「すぐに来い」と言って晩餐会を行って、大歓迎するんです。
それで、彼らはちょっと勘違いをしてしまいます。こんなにアメリカが日本を大歓迎しているということは、あの安政の不平等条約(安政五ヶ国条約)を改正するいいチャンスが来た、と彼らは思ったのです。
そこで、切り出すわけです。「1つお願いがある。安政の条約を改正したいと思いますが」と...
●原点に戻り、儒・仏・道・禅・神を活かした国家づくりを
―― 先生が教えてくれたその弟子の横井小楠も佐久間象山の構想が、これからという時に亡くなってしまうんですね。
田口 亡くなっちゃう。
―― そうすると、大久保利通も伊藤博文ももうしょうがなくて、
田口 岩倉使節団、あれしかなくなってしまった。
―― あれしかなくなってしまったんですよね。
田口 あれしかなくなっちゃったから洋魂洋才になってしまったんですよ。やはりそこで、もう1回、現代を考えるべきで、今もう1回日本の構造を建て直すべき時ですよ。
―― 今まさにそういうことですよね。
田口 そうですね。
―― 今やはり、比較的翻訳がうまかった日本が、つまり、仏教が入ってきても禅が入ってきても道教が入ってきてもうまく組み立てられた日本が、今ここでおかしくなっちゃいましたね。
田口 そうなんです。だからもう1回原点に戻るしかないということは、「儒・仏・道・禅・神道(儒教、仏教、道教、禅、神道)」に戻って、それを活かした国家づくりというものをするべきなんですよ。ちょうど150年前の明治維新というわれわれにはすごいモデルがあるので、そういう意味では横井小楠、佐久間象山などに学ぶべきです。横井からは日本の独自性を活かした国家とはどういうことかを学ぶ。佐久間には、第四次産業革命でAIとか人工知能とか入っている先端産業の技術を、どうやって得たらいいのか、使ったらいいのかを学ぶべき時ですよ。
―― そうでしょうね。
●大久保利通、伊藤博文が示した実行力
田口 それで実行係として大久保と伊藤がいるというすごさ。この2人の実行力ということについて、1つだけお話しして帰ろうと思いますが。要するに、岩倉使節団に加わって彼ら2人はアメリカに行きますね。そして、サンフランシスコで大歓迎を受けるんです。ちょうどその頃、大陸横断鉄道ができてそれでワシントンへ行くと、ワシントンでも大歓迎。時の大統領も「すぐに来い」と言って晩餐会を行って、大歓迎するんです。
それで、彼らはちょっと勘違いをしてしまいます。こんなにアメリカが日本を大歓迎しているということは、あの安政の不平等条約(安政五ヶ国条約)を改正するいいチャンスが来た、と彼らは思ったのです。
そこで、切り出すわけです。「1つお願いがある。安政の条約を改正したいと思いますが」と...