明治維新から学ぶもの~改革への道
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
国是として現在も生きる明治天皇「五箇条の御誓文」の影響
明治維新から学ぶもの~改革への道(3)明治天皇と五箇条の御誓文
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

講義一覧を見る▼
若き明治天皇は、新政府の意向により、西洋の皇帝をモデルとする宮中改革に育てられた。時間的・空間的な日本の象徴として君臨する天皇は、親臨と直裁により大きな成長を遂げる。自らご誓約された「五箇条の御誓文」は、明治新政府が残した国是として現在も息づいている。(2018年11月13日開催島田塾講演「明治維新とは:新たな史観のこころみ」<後編>より、全22話中第3話)
時間:10分30秒
収録日:2018年11月13日
追加日:2019年4月21日
≪全文≫

●明治天皇は、新政府にとって「正統性の根拠」


 明治天皇と新政府の関係を一言でいうと、明治天皇は新政府の正統性の根拠です。明治天皇は、孝明天皇の第二子として、権大納言中山忠能(ただやす)の館で誕生したといいます。母親が孝明天皇の側室に入っていたためで、要するに嫁側の実家で生まれたわけです。

 この数年後に孝明天皇が崩御しますが、崩御が発表されないまま、睦仁親王(後の明治天皇のこと)の践祚(せんそ)が内定します。慶応4(1868)年、天皇がまだ16歳の時であったため、新政府が「少年を抱え込んだ」という形容もなされます。

 天皇が即位すると、中山大納言をはじめとして徹底的に宮中改革をしようという動きが起こります。先代の孝明天皇が宮中で生まれ育ち、即位後も最後までずっと宮中を離れない方だったからです。

 これは一見いいようですが、実は大問題があります。取り巻きが女官ばかりで、独特な雰囲気を持っている。そして、外の世界をまったく知らない。そして、孝明天皇は外国人が大嫌いで、徹底的な排他主義でした。そういう天皇では困るので、文武両道に秀で、率先して先頭に立つ天皇をつくりたいと大久保利通は考えていました。彼のイメージにあったのはヨーロッパの皇帝です。女官に囲まれて密室で育つような、なよなよした人間ではない。これは、非常に大きな転換だと思います。


●天皇が時間的・空間的な日本の象徴となる


 天皇誕生日は旧暦9月22日ですが、太陽暦では11月3日、これを「天長節」とします。なぜ天長節か。天皇は、時間的に、空間的に日本の象徴でなくてはいけないからです。

 明治天皇の時代をもって「明治時代」という。明治天皇が崩御されれば次の時代が来る。これは、天皇の人生と時代(元号)がいちいち連動する時間的支配です。江戸時代はそうではなく、天皇が変わっても時代の名前は変わらなかったり、天皇がいても時代は変わったりしていました。それを変えました(一世一元の制)。

 それから、空間的象徴についてですが、江戸時代の天皇は、人々の目に留まりませんでしたが、明治では以下のことを行いました。2018年が150周年に当たりましたが、慶応4(1868)年の7月に江戸を東京(「東の都」)と改称し、9月20日に明治天皇の東京行幸が敢行されたのです。慶応4年は9月8日をもって明治元年になります。その10月13日、天皇は初めて東京の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係
丸島和洋
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介

人気の講義ランキングTOP10
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(2)MAGAの矛盾と内戦の現状
MAGA内戦勃発…なぜトランプがMAGAの敵になってしまうのか
東秀敏
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏