「近代日本をつくった男、渋沢栄一」の素顔
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
渋沢栄一が近代日本に与えた二つの大きな影響
「近代日本をつくった男、渋沢栄一」の素顔(1)若き日の渋沢栄一
「日本資本主義の父」として知られ、第一国立銀行(現みずほ銀行)や東京証券取引所の設立者として知られるが、渋沢栄一とはどういう人物なのか。また彼は近代日本にどのような影響を与えたのか。『小説 渋沢栄一』著者で小説家の童門冬二氏が、「近代日本をつくった男、渋沢栄一」の素顔とその思想を語る。(全4話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分33秒
収録日:2019年4月24日
追加日:2021年1月27日
≪全文≫

●「日本資本主義の父」と言われる理由


── 皆さま、こんにちは。本日は、童門冬二先生に「近代日本をつくった男、渋沢栄一」というテーマで講義をいただきます。先生、どうぞよろしくお願いいたします。

童門 お願いいたします。

── 渋沢栄一が、2024年から1万円札になると決まりました。よく「日本資本主義の父」と言われますが、意外と「何をした人か分からない」という声も多いようです。ただ、1万円札になるぐらいですから、やはり日本にとって、特に日本の近代にとって、非常に重要な人物だったのだと思います。先生、まず一言で、渋沢栄一の日本近代における意義について、彼がいたことで何が日本は変わったのかという部分、どのようにお考えでしょうか。

童門 一つは、日本で最初の銀行、「国立第一銀行」をつくったことです。それは渋沢さんがパリで学んできた資本主義、あるいは株式、これを日本に導入した先覚者であるということですね。

 また、徳川時代260年、300年近く主税(主な税)がお米でした。これは実物の納入だったわけです。ですから、納税者がみんな米俵を担いでいちいち持ってくるという大変なことをしていた。それを金納にしました。しかもそれを銀行が発行するお札によって納める制度にしたのです。これが大きいことですね。

 それからもう一つは、資本主義というか、株式を活用した組織、会社ですね。こういう企業を500だか600だか起こしている。つぶれたものもあると思うんですけれども。政治制度や政府の組織は、明治維新によって近代化されます。それを日本の財政面において実行した人だということ。それが政府だけではなくて、やはり国民にも大きく影響を与えていた。そういう人だと思います。

 ただ、この人には、精神というかな、スピリットがありましてね。有名なのは、銀行をつくった時の話です。「銀行というもの、ただお金を貸し借りするバランスシートのそろばん勘定だけでは駄目だ」という。「そろばん勘定ばかりしていると、いつか人間としていけないことをやるようになってしまう」と。それで、「人の道を守るためには、古代中国に孔子が書いた『論語』という素晴らしい本がある。これを、わが行員は一人残らず、暇があったら常に紐解いてもらいたい」と。そのことが世間に流れまして、「論語と算盤を一致させよ」という、そういう言い方をしたと広まったわけです。ざ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
戦国合戦の真実(1)兵の動員はこうして行なわれた
戦国時代の兵の動員とは?…無視できない農民の事情
中村彰彦
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之

人気の講義ランキングTOP10
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(3)DSA化した民主党と今後の展望
DSAの民主党乗っ取り工作…世代交代で大躍進の可能性
東秀敏
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
世界哲学のすすめ(1)世界哲学プロジェクト
日本発!危機の時代に始動する世界哲学プロジェクトの意義
納富信留
認知バイアス~その仕組みと可能性(2)創造のバイアス〈前編〉
創造の「4段階説」、ひらめきには準備が必要
鈴木宏昭
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部