●求められているのは隠れたニーズとそのサポーターとのマッチング
―― 今回のシリーズで非常に面白い議論が進められたと思います。ここでは、貨幣ではないものというとき、どのような形が有り得るのか、お伺いしたいです。これは貨幣を用いた例にはなってしまいますが、クラウドファンディングのような形で資金を調達するケースもあります。もしかすると、幸福堂のような本屋のケースもクラウドファンディングで支えることができたかもしれません。
吉川 それは一つあります。ただ、それは新しい貨幣をつくるという話とは別です。
―― あとは、ポイント制も一つの案としてあります。家電量販店などで家電を買うとポイントが付きます。また、貨幣ではないですが、先ほど小宮山先生が挙げられた例では、子ども食堂を通じて得た10ポイントを秋田に送り、その10ポイント分を介護に使うことができるというシステムというものもあります。そのような仕組みを、テクノロジーによって実現することもできると思いますが、そういったことも含め、今後の予見を教えていただけないでしょうか。
吉川 その点は、今回の議論の中で小宮山先生に投げかけさせていただいたところです。
小宮山 何かの価値のあるお店がつぶれそうなときに、それをサポートしたい人を探そうという仕組みが、クラウドファンディングです。私も、クラウドファンディングをしばしば利用したり、調べたりしているのですが、成功事例は少ないのです。取り上げられているのは成功事例だけです。
もしかすると、重要なのはマッチングなのかもしません。「このようなものを助けましょう」というニーズと、「良いものは助けたい」というサポーターが、非常に分散していて、うまくマッチングされていないのかもしれません。
今日、ITで最も成功している一つの企業は、マッチングで成功したのです。Uberは、タクシーに乗りたい人と乗せたい人とをマッチングしました。Airbnbもそうです。このようなマッチングの成否が鍵なのですが、今のシステムではうまく機能していません。やはりここにアイデアが必要なのです。
●分類と外部性は注目すべきポイントである
小宮山 これから必要とされるのは分類だと思います。hidden valueというものにはどういったものがあるのか。非常に粗い分類ですが、今それを進めているので、機会があればそちらを見ていただ...