これからの社会・経済の構造変化
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利益か社会課題解決か…かつての日本企業の美点を取り戻せ
これからの社会・経済の構造変化(2)経済的利益と社会課題解決の両立へ
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
日本にはもう一つ大きな課題がある。経済的利益と社会課題の解決を両立できるのかという課題だ。そこで注目を集めているのが、「ステークホルダー資本主義」と呼ばれる考え方である。自社の利益だけでなく、従業員を大事にし、地域への貢献も行っていくという、これまで日本企業がずっと大事にしてきたものだったが、その動きははたして課題解決につながるのだろうか。(全4話中第2話)
時間:9分06秒
収録日:2025年12月9日
追加日:2026年1月29日
≪全文≫

●社会の課題解決と企業の利益は矛盾しない


 それから、もう1つ大きな課題として感じている部分でいくと、経済的利益か社会課題解決かみたいなところがあって、これは主に岸田政権になって、社会課題解決という話が政策のけっこう大きなイシューになってきています。政権の中でいろいろな議論があった結果として、社会課題解決と経済成長とを車の両輪にして両立させて、経済をよくしていくということになってきました。

 こういうことが出てきた時代的な背景として、1つはコロナが大きかったのだと思います。なので、単なる経済成長だけではなくて、という話があります。

 それから環境問題。特にヨーロッパを中心とした環境問題に対するウエイトの高まりというものもあって、成長ではなく環境だとか、サステナビリティを重視するということです。

 それに呼応する形で、企業の中でもパーパス経営とかサステナビリティ経営という話が出てきて、最近の投資の話であれば、ESG投資とかインパクト投資という話が出てきています。社会全体が金銭的な利益だけではなくて、社会の課題を解消する活動を重視していきましょうということです。経済成長だけではなくて、社会課題の解決につながるような政策をやっていきましょうという、2つの課題が出てきていて、これをどう考えるかが、いまだに世界が悩んでいるところではありますけれど、少し大きな課題として出てきています。これはこの先もおそらく考え続けるポイントなのだろうと思います。

 私の理解では、社会課題解決のための経済活動と、中長期的な企業の利益拡大とは矛盾しないということです。むしろ社会課題解決のための経済活動をやっていくことで、それがその企業の新しいサービスとか新しい製品の開発につながっていき、中長期的な企業の発展にもつながるという仕組みだと思います。

 だから、ある意味で中長期的な企業価値の向上とか経済の発展を企業が考えていくことが、結果として社会課題の解決にもしっかりつながっていくということです。

 あるいは、これが例えば地域の活動というようなことをやっていくと、自社の利益だけではなくて、地域をしっかり豊かにする、地域の貢献をしていく。あるいは短期的な利益にならなくても、従業員の福利厚生を考えるとか、最近の言葉でいうと「ステークホルダー...

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