プラトン『ポリテイア(国家)』を読む
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
アテナイから下って…プラトンは冒頭部に何を仕掛けたか?
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(2)『ポリテイア』という対話篇〈上〉
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
『ポリテイア(国家)』は「ソクラテス対話篇」という形式で書かれている。プラトンの師ソクラテスが主人公として、他の人物と会話を行っていく中で、さまざまな問いが立てられ、読者は自ら考えを答えることが求められる。今回は対話篇の「読み方」をあらかじめ頭に入れた上で、冒頭部分を丁寧に読み解いていく。(全16話中第2話)
時間:11分37秒
収録日:2022年7月8日
追加日:2022年11月24日
≪全文≫

●プラトンが「対話篇」に込めた興味深い仕掛け


 プラトン『ポリテイア』という対話篇を読み解いていきます。

 プラトンの他のほとんどの著作と同様、これは対話篇で書かれています。「ソクラテス対話篇」と呼んでいる形式の一つです。紀元前399年にソクラテスが処刑されてしまった後、それを受けて彼の弟子たちがソクラテスを主人公にして書いた対話形式の作品があり、プラトンの作品はそのうちのごく一部です。プラトンはそこで、自分の哲学を独特の形で展開していることになります。

 プラトンとその仲間が書いたソクラテスの対話篇には、大きく2通りの形式があります。「直接対話篇」すなわち戯曲形式として登場人物がいきなりしゃべる形式と、「間接対話篇」として対話がなされたことを報告する形式です。

 この『ポリテイア』という本は間接対話篇であり、ソクラテスが前日に自分が交わした対話を、その翌日誰かに向けて報告しているという形式を取ります。そのため、ほとんど全ての行に「…と私は言った」「…と彼は言った」と入ります。

 今回は、なぜこの対話篇という形式を採っているのかということを確認していきたいと思います。これは、ただ単に文学的な手法だとか、あるいは生き生きとした設定だとかということではなく、非常に複雑かつ興味深い仕掛けが込められています。

 とりわけプラトンは、その対話の設定に非常にこだわった作家です。文学的にもそうですが、実は哲学的に非常にこだわった作家だと思います。「設定」というのは、対話がなされている時期、どういう人が対話しているのか、あるいはそのトピックはどういうものか、ということをそう呼びます。

 ですから、これは学術論文とは違い、何年何月頃に、誰が誰と交わした対話といった形式を採っています。それをどう読み解くかということが、私たち読者にとってはまず必要になるわけです。


●「対話篇」の読み解き方と「3つの時」


 一般的にプラトンは、歴史的な事実にむしろ非常に忠実に作っているというのが私の分析です。すなわち、自分の生きている時代から数十年離れた時代であっても、かなりヴィヴィッドにその時代の状況を復元することができる。日本のわれわれが馴染んでいる形式でいえば、歴史小説のような感じです。 例えば、幕末や戦国の時代を非常にリアルに体感さ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留

人気の講義ランキングTOP10
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
歌舞伎はスゴイ(2)市川團十郎の何がスゴイか(後編)
歌舞伎十八番を定めた七代目市川團十郎、一番モテた八代目
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照