プラトン『ポリテイア(国家)』を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「正義とは何か」第1巻の重要性と全10巻の全体構造
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(4)第1巻の問題提起
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
全10巻からなる『ポリテイア(国家)』の中で最も重要なのは、「正義とは何か」という主題が明確に示される第1巻だと納富氏は言う。第1巻では、ケファロス、ポレマルコス、トラシュマルコスの3人がソクラテスの対話相手として登場する。シチリア出身の武器商人であるケファロスとの何気ない財産論から始まる対話は、やがて「正義とは何か」の追究へと進む。続くポレマルコス、トラシュマルコスとの対話ではソクラテスの論駁が展開され、その後、全巻を費やして語られる問題提起につながっていく。『ポリテイア』全体の構図と合わせて解説する。(全16話中第4話)
時間:15分27秒
収録日:2022年7月8日
追加日:2022年12月8日
≪全文≫

●『ポリテイア』全体で最も重要な問題提起は第1巻の「正義とは何か」


 プラトン『ポリテイア』を読み始めましょう。今回は、第1巻がどういう問題提起をしているかということを見ていきます。

 『ポリテイア』は、現在では全部で10巻になっています。「巻」というのは古代の一つひとつの巻物を指す呼び方で、長い作品のパーツを表します。ただし、これはおそらくプラトンが自分でつくったものではなく、写すときに便宜的に分けられたものです。これはなかなか便利なので、われわれも便宜的に「第何巻」という呼び方を使わせていただきます。

 藤沢先生の翻訳(『国家』〈上・下〉)では、(各巻の)最初に(10巻)全体の梗概が載っています。どこでどういう議論をしているかということが書いてあり、非常に便利ですのでお使いください。

 第1巻は若干他と違って、ちょっと独立した対話篇のような感じになっています。今からお話しするストーリーも、1巻だけで完結するようになっています。

 現代の学者でも、この第1巻はもともと独立作品として、別に作られたのではないかという推測を行う人もいます。独立作品だとすると、おそらく『トラシュマコス』というタイトルだったのではないかといいます。私はそう思ってはいませんが、そう考える人もいるぐらい独立性の高い作品です。これだけで非常に面白く、第1巻だけ読んでも魅力満点です。

 この第1巻において、まさに『ポリテイア』全体の主題である、「正義とは何か」という問題が明確に示されていくことになります。その意味で、最も重要な箇所だと思います。


●ソクラテスとケファロスの対話――財産論から「正義とは何か」の追究へ


 この第1巻では、語り手であり、かつこれからずっと対話を導いていくソクラテスが、3人の人物と次々に対話をしていくという形式をとります。1人目、2人目、3人目と、相手が交代しながら対話していくわけで、こういう対話篇は他にもあります(『ゴルギアス』など)。

 最初の人物は、ケファロスというペイライエウスに屋敷を構えている大金持ちのおじいさんです。その息子のポレマルコスが2番目で、3番目はそこにゲストして来ていたソフィストのトラシュマコスという人物です。

 これは、年齢も背景も違うキャラクターと次々に議論する、非常にドラマチックな仕立てで、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
ギリシア神話の基本を知る(1)「ゼウス以前」の神々の戦い
ギリシア神話…ゼウスの「父親殺し」とオリュンポス十二神
鎌田東二
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(31)鶴見太郎先生の「公開収録」のご案内
【公開収録のご案内】鶴見太郎先生:ユダヤ人と世界史…その歴史の教訓とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(5)「3つ」で組まれた構造分析
驚くほど似ているギリシアの『オデュッセイア』とインドの『マハーバーラタ』…その謎に迫る
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
ギリシア神話の基本を知る(1)「ゼウス以前」の神々の戦い
ギリシア神話…ゼウスの「父親殺し」とオリュンポス十二神
鎌田東二
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉