「進化」への誤解…本当は何か?
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
適者生存ではない…進化論とスペンサーの社会進化論は別物
「進化」への誤解…本当は何か?(7)進歩思想としての進化論と社会進化論
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
ダーウィンの進化論は、生物の目的や社会の発展といった進歩思想とは区別された、純粋な科学的理論構築として取り組まれていた。しかし、ダーウィンの理論を受け入れ、広めた多くは進歩思想を支持する人々だった。進歩思想に「利用」された進化論、その内実について、スペンサーの「社会進化論」を交えながら解説する。(2025年5月15日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全9話中第7話)
※司会者:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:13分32秒
収録日:2025年5月17日
追加日:2026年1月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●社会思想としての進化論


長谷川 今までの話は生物学の進化の話です。(その話には)目的とか、目標とか、方向性とか、生気とか、魂とか、そういうものは全然入っていないのです。良くなるとも言っていません。それは環境次第、(つまり)環境からの圧力次第なので、どうなるかということに人間がいいと思うかどうかは関係ないのです。

 ところが、社会思想としての進化論は必ずあって、それは「進歩思想」なのです。進歩思想は、世の中は変わる、変われる、良い方向に変わることができる、人間が考えて、より良い社会をつくることができる、未来は変えられるという確信です。それは人間の思考を信じることなので、人間万歳主義でもあります。人間礼讃でもあります。

 それが欧米で始まったのはルネサンスの頃です。ルネサンスのときに人間が見るものを信用して、記述しましょうということになったのです。それまで、(つまり)中世までのヨーロッパは、人間はアホなのだから、神様に及びもつかないのだから、人間が書くもの、描写したものは全然信用できないといっていたのです。それがルネサンス(の頃に)変わって、人間中心主義になっていくのです。

 それに対して保守思想は、世の中は変わらない、階級制度など変わらない、変えることはできない、だから各自、分相応に生きるべきだということです。なぜなら世の中がこうなるように神様がつくったので、神様の意思で変わるかもしれないけれど、人間が変えることはできないだろうということです。

 また、神様は人間に悪いことはしないはずで、王権神授説はそういうものを逆手に取って、王様は神様からもらった地位なのだから、すごいという説明をするわけです。そういうものを受け入れることとか、災難が起こると、それは人間が悪かったから神様(から)の罰だと言ったり、人間に試練を与えているのだと言ったりして、災難をそのまま受け入れようとするという現状肯定、現状維持、変革必要なしというものを保守思想とすると、そうではない進歩思想がルネサンス以降は確実にあったと思います。

 ヨーロッパの中世はまさに保守思想の時代です。変わらない神様がこうやって(世の中を)つくって、(それは)おそらく人間のためを思ってやっているのだから、分相応に生きましょう...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
もっと知りたいイヌのこと(1)イヌの歴史を振り返る
オオカミはいつイヌになったか…犬の起源と家畜化の歴史
長谷川眞理子
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹

人気の講義ランキングTOP10
飽食時代の「選食」のススメ(1)選食の提唱と「食の多様性」
肥満、認知症、低栄養…飽食の時代に大事な「選食力」3カ条
堀江重郎
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
ウェルビーイングを高めるDE&I(6)エクイティ実現と特権性の理解:前編
改札、公衆トイレ、在宅勤務…構造的格差とエクイティの意味
青島未佳
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(8)AI時代の人間の価値
労働市場改革を妨げる労組や、不登校を救えぬ文科省こそが邪魔だ
宮本弘曉
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(2)失敗の本質
『失敗の本質』初版から30年…同じ失敗を繰り返す日本組織
三谷宏治
編集部ラジオ2026(17)「過剰な良かれ」の落とし穴
【10minで考える】巨人・阿部監督の辞任と「過剰な良かれ」
テンミニッツ・アカデミー編集部
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
睡眠不足が生活習慣病や精神疾患を招く…睡眠の5つのミッション
西野精治
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
江戸とローマ~日本酒とワイン(1)醸造技術の進歩と輸送手段の変遷
ワインと日本酒と人生の悦び…酒文化を謳歌した江戸とローマ
本村凌二