「進化」への誤解…本当は何か?
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
なぜ変異が必要なのか…現代にも通じる多様性創出の原理
「進化」への誤解…本当は何か?(8)偶然の進化と多様性創出の原理
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
科学的な思考を社会思想と分けて考えることは難しい。その背景には、「ただの偶然」で世界を説明されることの受け入れ難さがあるのかもしれない。科学的な説明を「ただの偶然」として理解することの意義や、生物における多様性創出の原理を考える。(2025年5月15日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全9話中第8話)
※司会者:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:7分19秒
収録日:2025年5月17日
追加日:2026年1月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●「ただの偶然」を人は受け入れづらい


長谷川 ということで、科学と思想は分かちがたく、車の両輪のように行くときがあります。それは人間がやっていることなので、人間が自分の生活と世界観を完全に抜け出して、科学的に事実を研究しようなんてできないからです。

 アリストテレスの時代は目的論で全てを解釈しようとしたわけです。そのときに彼が言っていたのは、なぜ物が上から下に落ちるかというと、「物には本来の所属するべき場所があるのだ。それは地上なのだ。本来、物は全て地上に属するべき場所なので、物はみな地上に向かって落ちるのである」という目的論的な物理を展開したのです。

 今、そんなことを信じる人はいないし、物に目的があると思う人もいないでしょう。それはそういう時代ではなくなったからで、人々が普通に見ることからそういうことを連想するという時代ではなくなってしまったのです。

 ニュートン力学はそうではなくて、物体間に働く力の法則を解明しました。物が本来所属するところに向かって落ちたいということから技術は生まれなかったけれど、ニュートンの物理学からは技術が生まれる、ということを見ているわけです。

 キリスト教の聖書も、創造論とデザイン論が書いてあって、生き物は全て神が創造の日に、それぞれ独立してつくった。全ての生物はその生息環境に適応している。それは神がそのようにデザインしたからだというデザイン論です。(これが)創造論とデザイン論です。

 これは、日本とかアジアはそう考えないけれど、そういう説明で納得するところもある。それは、人に固有の心性があり、そうできているからだと思います。目的とか、進歩とか、方向性というものは人々が毎日の生活を送っていく上で、そうしないといけない、「目的も何もない子はダメ」とか、「進歩しない子はダメ」と言われてきているし、そうする努力をすることが人間にとってのいいことだと完全に思っているから、偶然とか、無意味とか、ただの結果というのは受け入れにくいのではないでしょうか。

 斎藤成也という元東大(出身)の私の後輩は、(かつて)遺伝学研究所の木村資生先生のところにいたのですが、彼が「全ては偶然なのだ、適応も何も、結局偶然なのだよと言っても誰も受け入れないのだよね」と言っていたのです。たしかに偶然に意味はな...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔

人気の講義ランキングTOP10
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
プロジェクトマネジメントの基本(10)大脳生理学によるモチベーション理論
論理的?計画的?社交的?冒険的?利き脳による4タイプ
大塚有希子
こどもと学ぶ戦争と平和(2)「本当の平和」とは何か
「平和」には2つある…今の日本は本当に平和なのか?
小原雅博
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
いま夏目漱石の前期三部作を読む(7)『門』に込められたメッセージ
『門』の主人公は神経衰弱…根拠を求める人の不幸とは
與那覇潤
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(9)秀吉が作った公武統一政権と歴史のif
公武統一政権を作った秀吉の狙いとその歴史的意味
黒田基樹