「進化」への誤解…本当は何か?
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
『種の起源』…ダーウィンとウォレスの自然淘汰の理論
「進化」への誤解…本当は何か?(4)ダーウィンの進化論と自然淘汰の理論
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
進化論といえばダーウィンだが、彼の有名な著作『種の起源』の出版には、ラッセル・ウォレスという人物をめぐる想定外の事態があった。科学的進化論の端緒である『種の起源』誕生の背景と、その議論のポイントについて解説する。(2025年5月15日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全9話中第4話)
※司会者:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:6分20秒
収録日:2025年5月17日
追加日:2026年1月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●杜撰だったチェンバースの議論


長谷川 それで、ラマルクの考えはとても広まったのだけれど、信用はされなかったのです。

 1802年生まれでスコットランドの出版業者のロバート・チェンバースという人が、1844年に『創造の自然史の痕跡』という、ひどい本を書きます。私は(その本を)持っていますが――全部読みたくないのだけれど――、(チェンバースは)宇宙の始まりから、地球の始まり、生物の始まりなど、いろいろなことを(扱いながら)どうやってこの世界ができたかということを『創造の自然史の痕跡』という名前で書きました。

 (そうして)出版して、ものすごく売れたのです。けれど内容はというと、ラマルクの考えとか、他のいろいろな考え(例えば)ビュフォンとか(が出てきて)、理論体系も穴だらけだし、証拠として挙げている事実も嘘があったり、いろいろなものがごちゃ混ぜなのです。けれど、とにかくすごく新しい考えということで人気を博して、出版業者で大儲けし、本当にすごく売れたのです。

 一説によると、チェンバースがどうしてこういうことを考えたかというと、あの人は多指症で、生まれつき6本目の小指があったのだそうです。それで、そういう変異というものがあって生物は変わるということは、自分の多指症を説明するという意味があったということをどこかで読みました。

 世間的にはすごく売れたけれど、いわゆるインテリからはけちょけちょにけなされて、「もうダメだ、ダメだ」の連続でした。

 ダーウィンはそれを全部見ているのです。チェンバースがこういう本を出して、こういうことを書いたということを、彼も読んでいます。めちゃくちゃでごちゃ混ぜだと思ったのですが、それがどう受け止められたかというと、インテリ層からはけちょけちょにけなされているけれど、大衆からはワッと人気があったということで、そのことをダーウィンはちゃんと見ています。

 その頃にはもう、(ダーウィンは)進化についていろいろ考えていたので、これは(今)出版するとか考えを表明するということにはものすごく慎重にならなければいけないなと思ったのがチェンバースの事件でしょう。


●急いで出すことになったダーウィンの『種の起源』


 (ということで、)ダーウィン(の話)になります。(スラ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環

人気の講義ランキングTOP10
AI時代と人間の再定義(3)Human Co-becomingと存在神学への対抗
耳障りな言葉がポイント!?新しい概念を生み出すチャンス
中島隆博
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
これからの社会・経済の構造変化(2)経済的利益と社会課題解決の両立へ
利益か社会課題解決か…かつての日本企業の美点を取り戻せ
柳川範之
「進化」への誤解…本当は何か?(9)AI時代の人間と科学の関係
科学は嫌われる!? なぜ「物語」のほうが重要視されるのか
長谷川眞理子
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
地政学入門 ヨーロッパ編(10)グリーンランドと北極海
グリーンランドに米国の軍事拠点…北極圏の地政学的意味
小原雅博
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典