レアメタルの光と影
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イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
レアメタルの光と影(1)イントロ
岡部徹(東京大学生産技術研究所教授)
「レアメタルとは何か」と問われると、皆様はどう答えるだろうか。日本を代表するレアメタルの専門家である岡部徹氏が、一般には常識と思われているデマや誤解について、「本当のこと」を徹底的に解説していく。(2015年4月20日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「レアアースをはじめとするレアメタルの光と影」より、全7話中第1話目)
時間:8分08秒
収録日:2015年4月20日
追加日:2015年8月6日
≪全文≫

●「レアメタル」と言われて思い浮かぶのは?


岡部 では、これから1時間程度、準備したスライドをパラパラと見ながら進めたいと思います。まずは、皆様の意識調査をしたいと思いますが、例えば、レアメタルとは何でしょう。そう聞かれて、ぱっと思い浮かぶものは何ですか。

参加者 具体的な名前ですか。

岡部 はい。例えば、何ですか。

参加者 チタン。

岡部 やはりチタンですか。

参加者 パラジウム。

岡部 パラジウムですか。では、どのレアメタルが枯渇しそうですか? と聞かれたら、何だと思いますか。枯渇しそうなレアメタルの鉱種はあまり思い浮かばないですかね。

 それから、海底のレアアースについて、話題になったりしますか。あるいは、ウユニ塩湖のリチウムについては、聞いたことはありますか。あまりない? そうですか。

 体に良いレアメタルというのは聞いたことがありますか。あまりないですかね。

 私には、皆様の興味の対象がよく分かりませんが、今日は、一般の人が興味を持ちそうなレアメタルの話題について少し話そうと思っています。


●チタンのスプーンが今、すごい人気に


岡部 まず自己紹介をしますと、私の本業はサステイナブル材料国際研究センターのセンター長で、(管理職でもありますが、)研究職です。そしてもう一つ、企業から寄付を頂いて、非鉄金属資源(主に銅、鉛、亜鉛)のリサイクル・製錬をする寄付研究部門の運営もさせていただいています。この分野は、昔の言葉で言うと「冶金(非鉄冶金)」です。非鉄金属を中心とする冶金学の分野の“特殊金属製錬”が私の専門です。この学問分野でチタンの製錬を行っています。

 ここでチタン製錬の技術的な話をしても皆様は寝てしまうだけですので、今日はチタンのスプーンを持ってきました。小さいスプーンセットは、ひとつが純チタンで、もう一つはステンレス鋼でできています。ステンレス鋼製のスプーンは100円ショップでも買えますが、チタンの方は高価で10倍ぐらいの値段がします。

 ちなみに、チタンのスプーンを初めて見たという方はどのぐらいいますか。皆様、初めてですか。うれしいですね。それは良かったです。私は料理をしないのでよく分からないのですが、この大きなチタンのスプーンは、今、奥さま方の間ですごい人気の商品になっているそうです。こんなに大きくて何に使うのか...

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