レアメタルの光と影
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
レアメタルの一番の問題は資源供給ではなく環境問題
レアメタルの光と影(6)技術制約と環境制約
岡部徹(東京大学生産技術研究所教授)
レアアースについてボトルネックになっているのは、資源供給よりも技術制約あるいは環境制約である場合が多いと岡部徹氏は言う。そこで理解しておきたいのはゴミ(廃棄物の処理)問題である。工業製品に必要なレアメタルを製造する裏では大量のゴミが出て害悪がまき散らされているという現実がある。では具体的にどのような問題が生じているのか。岡部氏がその詳細を語る。(2015年4月20日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「レアアースをはじめとするレアメタルの光と影」より、全7話中第6話目)
時間:6分28秒
収録日:2015年4月20日
追加日:2015年8月27日
≪全文≫

●レアアースは環境の問題という認識が必要


岡部 一番問題なのは、皆さんがレアアースの問題は資源供給の問題だと思っていることです。実際は、資源の問題などほとんど問題ではなく、尖閣諸島問題から外交問題、政治問題と発展して、中国からレアアースが突然、禁輸となり、日本の産業が慌てふためきました。禁輸になった理由は、別に資源が無くなったわけでも何でもなく、中国から見たら環境の問題が名目上の理由なのです。日本は特許を全て押さえており、ロンダリングしてきれいになったものだけ日本に輸入してきて、もうけまくっているからこんなことになるのです。そういう認識をしっかりと持っていただいたらと思います。

 あともう一つ、皆さんに理解していただきたいことがあります。例えば、プリウスなどハイブリッド車をつくるには、ジスプロシウムという特殊なレアアースが必要です。いま使っている鉱体(イオン吸着鉱)の中の品位(濃度)は、ppmでいえば大体100ppmです。(イオン吸着鉱中のジスプロシウムの鉱石中の濃度は、)、パーセントオーダーでは1パーセントのさらに100分の1です。したがって、このジスプロシウムをプリウスに使うと、どこかでその1万倍以上のゴミが(鉱石の採掘や製錬に伴って)出ているのです。この点を認識してください。

 例えば、ハイブリッド車には、たった1.3キログラムのレアアースしか要りません。その中で、ジスプロシウムは、さらに100グラムぐらいしか要らないのです。ただ、その裏では、4トンほどの鉱石が処理され、(重金属を含む)酸が出て、害悪がまき散らされています。ですから、(鉱石の採掘や製錬に伴って発生する)環境破壊が問題なのです。これは、日本ではなく、どこかの国で行われているのです。そういった意味では、ハイブリッド車やケータイなどを1個つくるのに、私たちの知らないところでは、とんでもない害悪が生まれている可能性があるということを認識してください。


●コスト問題から起こるロンダリングの議論


岡部 どうしてこんなことが起こっているかといえば、中国は原料コストが安く、環境コストが極めて低いからです。日本の場合は、原料コストが高い、エネルギーコストが高い、環境コストが高い、人件費が高いなど、四重苦、五重苦の状況です。それなのに、(鉱石から金属の)チタンをつくり続けている日本の企業は、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎

人気の講義ランキングTOP10
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIは間違いが分からない…思考で大事なのは訂正可能性
中島隆博
歌舞伎はスゴイ(4)歌舞伎のサバイバル術(後編)
江戸時代の歌舞伎にも大波乱が…どうやって生き残ったか
堀口茉純
「進化」への誤解…本当は何か?(6)木村資生の中立説
欧州では不人気…木村資生の中立説とダーウィンとの違い
長谷川眞理子
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(2)秀吉の実像と「太閤神話」
秀吉・秀長の出自は本当は…実像は従来のイメージと大違い
黒田基樹
株価と歴史…トランプ関税の影響を読む(2)株価リターンの歴史から考える
株式リターンの歴史検証…大きな構造変化の影響を見抜く
養田功一郎
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝