●専門家としてみて見たい、世界中の採掘・精錬の現場
大上 岡部先生は、世界の鉱山、あるいは精錬所に、いわゆる「レアメタルマフィア」の一員として潜入して調査をやっていると、いろいろと聞いたのですが、その代表的なものをいくつか話していただけますか。
岡部 私の専門はレアメタルの精錬、リサイクルでして、そういった意味では、普通は(製錬)工場と廃棄物の処分場ぐらいしか行く必要はないのですが、私自身が趣味としてアウトドアライフが大好きなものですから、レアメタルがどうやって掘られているのだろうか、と興味があって(鉱山などがある)現地まで行くことがあります。
大上 やはり見たいですよね。
●現場には、治安や廃棄物処分、さまざまな問題がある
岡部 例えば、一例を申しあげますと、南アフリカの白金の鉱山などです。
大上 危なそうな所ですね。
岡部 皆さんはヨハネスブルグが危ないと言いますが、そこからさらに北の方に行った所に、この前、ストや暴動で死者が出た鉱山があります。その白金鉱山の地下800メートルに潜って、実際に白金を採掘している現場を見てきたりもしています。
そして、その採掘している現場を見た後は、普通の人が入れない白金の精錬所や工場など、いろいろな所を見歩きます。
大上 クリーンな感じではないのですよね。
岡部 もちろん、治安だけではなくて廃棄物処分という意味でも、いろいろな意味で非常に問題があります。
●専門家集団の協力で、制約の多い中国レアアース鉱山も見学可能に
岡部 同じような問題を抱えているという意味では、この夏は中国のレアアース鉱山に行ってきました。
大上 中国というのは、要するに廃棄物の処理コストが安いがために、他国からの需要があってレアアースを出しているということでしたよね。
岡部 まさに、まさにその通りです。その現状を見に行こうということで、中国の内モンゴル自治区の包頭(バオトウ)市、現在は、中国領ですが、実際の文化圏で言えばモンゴル、というところですが、その包頭まで飛んで、そこから今度は北に150キロぐらいの鉱山地帯に行きました。ほとんどモンゴルとの国境の近くです。
そこのレアアース鉱山を訪問したり、その後、レアアースの精錬所、そして廃棄物を処分する所を見て回ります。
大上 あまり見られたくないですよね、中国政府と...