●「ウケ」がいいレアメタル
大上 最近、よく食品とか健康、そういった関連でレアメタルの名前を聞くことが多いのですが。
岡部 レアメタルというと非常に良いイメージがあるので、健康食品や美顔、スポーツ用品などいろいろなものに使われています。恐らく、多く使われるレアメタルの中で良いイメージがあるのは、プラチナですね。あとはチタン、ゲルマニウム、そしてバナジウム。この辺のレアメタルは、一般には“非常にウケがいいレアメタル”のように思いますね。
●実証しづらいレアメタルの効能
大上 レアメタルは本当に体に良いのですか?
岡部 いえ。私は、レアメタルが体に本当に良いとは、考えたことがないですね。また、レアメタルを日々使っていますが、体に良いと感じたことはないのです。
大上 きれいになるのですかね?
岡部 いや。例えば美顔グッズでは、「美顔ローラー」や「なんとかスチーマー」など、いろいろなものが売られています。もちろん、ローラーは物理的な刺激を与えることによってきれいになるでしょうし、スチーマーは寝る前につけておけば保湿がされるので、そういった意味では確実にきれいになるでしょう。ただ、そこでうたわれているレアメタルの効能といったものに関しては、私はどこまで正しいのかと思っています。
例えば、いろいろな天然水が売られていまして、それにもさまざまなレアメタルを含んでいるという効能をうたっているものがありますが、私から見たら、濃度的に薄すぎるので、その実態や効能をどうやって(科学的に)検証するのだ、ということになります。つまり、スチーマーから出てくるレアメタルのイオンをどうやって検出するのか、しかも、その効能をどうやって実証するのか、ということですね。
●レアメタル商品の付加価値をどう捉えるかは購入者次第
ただ、逆に言うと、薄いというのは非常に良いことでして、害も及ぼさない。これは非常に良いですね。
しかし、難しいのは、そういった美顔グッズ、健康グッズ、スポーツ用品は、害を及ぼさないながらも、レアメタルの効能をうたって高付加価値化して高値で売っている。これは、いわゆる素人の購入者の誤解を利用しているところがあるわけで、この辺をどう考えるか、ですね。
大上 買った人はそれで幸せを感じれば、きれいになったと思えば、本当にきれいになるかもしれませんしね。
●「普遍性」の有無が一つの価値判断となる
岡部 専門家として一言言えるのは、効果があるかないかは、気分にもよるのでしょうが、そういったものが本当に有効かどうかを判別する手段が一つあるのです。
要は、レアメタルというのは、昔から今まで、古今東西において、世界商品なのです。レアメタルは、採掘から商品を利用するところまで、世界を駆け巡っている商品です。ですから、レアメタルは世界を移動しているのですが、今回話題になった健康グッズや、飲むレアメタルなどは、特定の時間、特定の地域、国でしか利用されていない、つまるところイメージ商品なのです。
大上 普遍性がないのですね。
岡部 まさに、その普遍性が出てきたら、これは“ほんまもん”とも考えることはできるのですが。今、話題になったレアメタルは、ほとんど日本でしか売られていません。しかも今の時期しか話題になっていません。
●限られたイメージに惑わされないこと
例えば、プラチナなどは、日本人にとっては非常に良いイメージがありますが、インドに行くとあまりイメージはよろしくない。インドに行ったらやはり“ゴールド”ですね。ですから、そういった意味では、「ゴールドなんとか」という健康グッズを売るのが、インドではマーケティングとしては好ましいのではないかと思われます。
このように、健康グッズ、美容グッズ、この辺にまつわるレアメタルというのは、どう考えていくか非常に難しいのです。
私もこういったところでは、なかなか率直に言えないのですが、皆さん注意してものを買うようにした方が良いと思います。
●今後のレアメタルマーケットの可能性
大上 一方で、プラチナに代表されるような嗜好品としてのレアメタル。そういう文化を、逆に日本からアジアに、あるいは世界に出していく。そういうこともあり得るわけでしょうか。
岡部 はい。これから、特にプラチナは、中国でも台湾でもイメージが良いでしょうから、そういったレアメタルグッズの世界戦略でもうけるという意味では、非常に有効かもしれません。ですが、レアメタルが本質的にどこまで効能があるかどうかというのは、専門家から見たらかなり怪しいというのが、私の率直な意見です。
大上 例えば、バナジウムをディスプロシウムに変える、そういうことをやっても有効でしょうか。
岡部 ディスプロシウムは貴重資...