中国レアアース対日禁輸と日本の資源戦略
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
企業に比べて国の資源戦略には問題がある
中国レアアース対日禁輸と日本の資源戦略
岡部徹(東京大学生産技術研究所教授)
中国のレアアース禁輸に動揺させられた日本にとって、輸入依存からの脱却と、長期的かつ多角的視野に立った資源活用は必要不可欠である。レアアース問題と、これからの日本の資源戦略について、東京大学生産技術研究所教授・岡部徹氏が語る。(インタビュアー:大上二三雄氏/エム・アイ・コンサルティンググループ株式会社代表取締役)
時間:16分00秒
収録日:2014年12月11日
追加日:2015年4月30日
≪全文≫

●尖閣諸島問題で中国がとった「禁輸」という戦略


大上 では、レアメタルを中心とする日本の資源戦略について、岡部徹先生から話を聞いていきたいと思います。

 岡部先生は、尖閣問題が発生する以前から、中国は禁輸という戦略を取る可能性があり、その場合には非常にインパクトがあるだろうとおっしゃっていたと聞いています。まずその辺りからお話を伺えますか。

岡部 レアアースは、実を言うと、20~30年前はアメリカが大半を生産していたのですが、中国が安売りを始めるようになって、結局アメリカの鉱山は稼働しなくなりました。尖閣諸島の問題が起こる頃は、中国が全世界の90パーセントのレアアース以上を供給していました。実際、日本は中国から産出されるレアアースのほとんどを輸入しているという状況でした。
 (補足:近年は、レアアースの価格が高騰したため米国の鉱山も再稼働している。)

●高性能磁石生産のために、大量の磁石用レアアースを中国から輸入した日本


岡部 その「ほとんど」というのは、少し語弊があります。レアアースと言っても、ネオジムであったり、セリウムであったり、ランタンであったりと、いろいろなレアアースがあるのです。(ネオジムを利用する)ハイテク用の最も高性能な磁石は、ほとんど日本でつくられています。日本の佐川眞人先生がその磁石(ネオジム合金磁石)を発明し、さらに日本の産業がそれをいち早く産業化して商業利用したのです。ハードディスクや高性能自動車のモーターなどには、全てレアアースの合金磁石が使われています。

大上 もうかったのですか。

岡部 いまだにもうかっていると思います。その高性能磁石は、ほぼ全てが日本でつくられていました。ですから、(中国からみれば)日本が主な輸出先だったのです。ただ、レアアースといっても、ネオジムという磁石用のレアアースだけではなく、ランタンやセリウムなどは、セラミック(などの酸化物)のような形で別の用途にも使います。例えば、ガラスを研磨したり、自動車の排ガス浄化触媒に使うなどです。こういったものは、日本以外にも供給されています。


●外交カードとしての「禁輸」を実際に使った中国


岡部 要は、日本はいわゆる磁石のレアアースの最大輸入国なのです。そういった状況で、これもまた偶然なのですが、「中国があるとき、突然レアアースの輸出を止めたら何が起こ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
もっと知りたいイヌのこと(1)イヌの歴史を振り返る
オオカミはいつイヌになったか…犬の起源と家畜化の歴史
長谷川眞理子
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
進化的人間考~ヒトの性質と異様な現代社会(1)進化のスパンと現在の人間生活
ヒトの進化史を文明の発展の時間軸から考える
長谷川眞理子
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治

人気の講義ランキングTOP10
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(3)稲作社会と頑張る日本人
ダメなのは「頑張りが足らない」から…うつを招く稲作的発想
與那覇潤
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(4)決断のかげにあった深い葛藤
情報を基にいかに決断するか…その深い葛藤と「南泉猫を斬る」
門田隆将
「ホメロス叙事詩」を読むために(4)『イリアス』の世界ーその2
『イリアス』の主人公アキレウスの怒りは何を意味するのか
納富信留
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子