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「紛争鉱物」は偽装されて世界中に流通している

紛争鉱物~レアメタルが抱える光と影

岡部徹
東京大学生産技術研究所教授
概要・テキスト
「紛争鉱物」と呼ばれるレアメタルがある。その代表格の一つはタンタルであるが、なぜタンタルは紛争鉱物と呼ばれているのか。東京大学生産技術研究所教授・岡部徹氏が、紛争鉱物に関する問題点を指摘しながら、世界の流通の現状について語る。(インタビュアー:大上二三雄氏/エム・アイ・コンサルティンググループ株式会社代表取締役)
時間:06:09
収録日:2014/12/25
追加日:2015/06/15
タグ:
≪全文≫

●「紛争鉱物」と呼ばれるレアメタルの代表格はタンタル


大上 それでは、今日は、東京大学の岡部徹教授に、レアメタルの時事問題ということで、幾つかのトピックをお話しいただきたいと思います。

 まず、ブラックダイヤモンド、あるいは、ブラッドダイヤモンドがあるように、ブラックレアメタル、あるいは、ブラッドレアメタルといわれるものがあると聞いたのですが。

岡部 ブラックレアメタルは、私たちの分野では「紛争鉱物」と呼ばれています。代表的なものにタンタルやコバルトなどがあるのですが、私の専門では、タンタルがいわゆる紛争鉱物の代表格の一つですね。

大上 タンタルは高いのですか。

岡部 金属タンタルの粉末は、末端価格で1キロ数万円の値段になります。何に使われているかと言いますと、携帯電話やパソコンなどの高性能コンデンサーで、電気をためる装置には不可欠です。

大上 日本が強い高級電子部品などに大量に使われているのですね。

岡部 まさにそうです。昔は、高性能、小型、熱的安定性がいいという意味で、軍事用の高性能コンデンサーや一部のオーディオファンのコンデンサーなど、超高性能コンデンサーとしてしか使われていなかったのですが、最近、携帯電話や移動機器が高性能化して、急速に使われるようになりました。それがタンタルコンデンサーで、その元となる重要なレアメタルがタンタルなのです。


●問題はタンタルが紛争地域から出ていること


岡部 問題は、そのタンタルが、いろいろな鉱山がある中で、現実的にアフリカのコンゴやルワンダといった紛争地域から主に産出されていることです。昔はオーストラリアの鉱山からタンタルを採掘していたのですが、開発や採掘コストがかかるので、実際には、最近は、豪州の鉱山は全く稼働していません。

 ただ、統計上は、数年前までオーストラリアのタンタル鉱山からタンタルが産出されていることになっています。

大上 なぜそんなことが起こり得るのですか。

岡部 そうしておかなくては不都合だからです。タンタルには、紛争とは関係ない地域から調達しなければいけないという世界ルールがありますので、全てが紛争由来の国から来ているとなると問題になるのです。そういった意味では、コンゴなどの紛争地域から来ていることを皆さん隠したいので、統計上の操作が行われているのです。


●ス...

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