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世界最大のレアアース鉱山・白雲鄂博鉱山を視察

レアメタルの光と影(5)中国レアアース行脚

岡部徹
東京大学生産技術研究所教授
概要・テキスト
なぜ、レアアースの採掘、製錬は中国に集中しているのか。その理由を知れば、レアメタルの光と影が見えてくる。レアアースの鉱山地域や製錬所、廃棄物処分場を視察した岡部徹氏が、中国レアアースの現状を貴重映像とともに紹介する。(2015年4月20日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「レアアースをはじめとするレアメタルの光と影」より、全7話中第5話目)
時間:10:06
収録日:2015/04/20
追加日:2015/08/24
≪全文≫

●世界最大鉱山、中国の包頭に潜入捜査へ


 レアアースに関しては、資源供給制約ではなく、むしろ、技術制約、環境制約の方が重要な課題であるとについて、具体的な事例をご紹介しようと思います。

 インターネットで「包頭(バオトウ)」、「テーリングダム」で(英語で画像)検索すると、かなりショッキングな映像が出てきます。これらの映像を見ると、レアアースを採掘、製錬するに当たって、すさまじい環境破壊が行われているということがわかり、“このような環境破壊を許していいのか”と、一部の人たちはメディアで語っています。

 このような映像をネット上で見つけた岡部徹は、アウトドアライフが大好きですので、さっそくこの鉱山(と周辺地域)に行ってみました。ただ、ここは日本人だけではなく、外国人が入るのに制限が多い地域でした。中国の北京から包頭まで飛行機で飛んで、そこから北へ120キロほど行きます。モンゴルの国境に程近く、何もない所です。Googleで見ると、巨大な世界最大のレアアースの露天掘り鉱山があることが分かります。

 内モンゴル自治区の包頭市は100万人の巨大都市ですが、郊外は、かなり田舎です。何もない包頭市の郊外に、私は出かけていきました。普通、都会人はこういう何もない所が嫌いなのですが、(自然が大好きな)私はハッピーになってしまうのです。まず人工物がなく、遮るものもありません。遮るものといったら、たまに居る牛や羊などの動物くらいです。また、なぜか分かりませんが、道中の郊外には風力発電機がやたらとあり、この電気はいったいどこに使うのだろうと思ったほどです。この地域は中国の行政区内にありますが、生活は完全にモンゴル文化圏です。


●素晴らしいもてなしの後、レアアースの町へ


 いざ行ってみたら、現地の方々から素晴らしいもてなしを受けました。なぜかというと、外国人の専門家はあまり来ないからです。私を連れて行ってくれた中国のレアアース関係企業の親分が、「俺の友だからちゃんとしてくれ」と言ったものですから、ものすごいことになるのです。桁違いのもてなしで大変でした。昼間から濃い酒を飲みまくり、贅沢な宴会が続きます。私はお酒は得意な方ですが、食べ物の方は文化の違いが大きく、結構つらいこともありました。

 昔、中国に行った方の中には現地のトイレで困った経験があると思います。最近は、北...
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