レアメタルの光と影
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
レアメタルの最大のハードルは値段の高さと環境破壊
レアメタルの光と影(3)レアメタルの可能性と課題
科学と技術
岡部徹(東京大学生産技術研究所教授)
岡部徹氏によれば、レアメタルに対する世間の関心度は10年前とは雲泥の差だという。その契機は中国のレアアース輸出規制だった。自動車、太陽電池など身近なところで使われるようになったレアメタルだが、メリットばかりではない。25年以上前の京大在籍中にレアメタルに出会って以来、レアメタル研究一筋の岡部氏だからこそ語れる、レアメタルの可能性と課題とは?(2015年4月20日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「レアアースをはじめとするレアメタルの光と影」より、全7話中第3話目)
時間:7分58秒
収録日:2015年4月20日
追加日:2015年8月17日
≪全文≫

●京大でレアメタルのとりこに


 以上、チタンの紹介をしましたが、私の自己紹介もさせていただきます。学部生時代は京都大学の熊野寮という所にいました。最近、メディアでも話題になっていましたが、家賃が月300円のスラムのような所で学部時代は生活をしていました。(4年生のときに研究室に配属され)そこでチタンの研究を始めたら面白くなって、それからレアメタルのとりこになりました。

 ただ当時、日本ではレアメタルの研究をやっていても暮らしていけないと言われていたので、学位取得後は、MIT(マサチューセッツ工科大学)に行って、(レアメタルの一つである)タンタルの研究をしました。そうこうしているうちに東北大学から、レアメタルのリサイクルの研究センターを立ち上げるので来てくれないかと言われ、そこに数年間、在籍しました。その後、2001年から東京大学に移りました。研究経歴としては、渡り鳥のような研究者をしていますね。

 私の人生は、引越しばかりでした。引越し歴が20回以上ありましたので、レアメタルがはやらないうちは、「専門は“引越し工学”です」と言っていました。引っ越し20回以上というのは、研究者という職歴だからではなく、父親が国際金融マンだったからです。父は、住友銀行の国際畑で働いていましたので、父親の転勤に伴って、引っ越しばかりしていました。2、3年ごとに転々とし、三つの小学校に通いました。

 今日はレアメタルの鉱山の話もさせていただきますが、アウトドアライフ(野外活動)が大好きなものですから、その辺りの話を鉱山開発と合わせて紹介しようと思います。


●絶滅危惧種ゆえ関係者全てがサポーターに


 レアメタルに関しては、チタン、ニオブ、タンタルなど何でも、その製錬とリサイクルに関する研究をひたすら続けてきました。今は、レアメタルがはやっているので、皆さんから「いい研究をしているね」と言われるのですが、当時は、「岡部さん、そんなことやっていてどうやって食べていくの?」と言われていました。

 ただ、ありがたいのは、このような研究をやっている人間がほとんど居ないので、日本のみならず世界中に居るこの分野の関係者が皆、私のサポーターになってくれることです。そういう意味では、若い人に対しては、「人気のある分野ではなく、誰もやっていないところをやると非常にいいことがあるよ。」と言...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
未来を知るための宇宙開発の歴史(1)宇宙開発の流れを概観する
宇宙開発の歴史、そして未来へ…6枚の写真で概観する
川口淳一郎
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎

人気の講義ランキングTOP10
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す
狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き
長谷川眞理子
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(2)イノベーションとプロセスの質
「プロセスの質」こそがイノベーションの結果を決める
遠山亮子