●ガンダムは、レアメタル的先見性の塊
次の質問です。これ(浅草寺)とこれ(機動戦士ガンダム)を見て、「なるほど、今日の岡部は、この話をするのか」と分かる方、おられるでしょうか。おそらく、オタクの人には一発で分かると思います。もう少しヒントが要りますかね。皆様、分からないですか。では、ヒントにいきましょう。
こうなると、もう分かりますね。答えはチタンです。
最新鋭の大型航空機は「炭素繊維のかたまり」といわれるほど多量な炭素繊維を使っていますが、金属に用いる主要部品については、他の金属がどんどんチタン合金に替わっていて、今では合計10トンほど使うこともあります。また、皆様がよく利用される羽田空港のD滑走路では、海に浮いている部分の天井裏に1000トンもチタン板が使われています。これはすごいですね。ちなみに柱の垂直部分はステンレス鋼製だそうです。
そして、ガンダムはなんと「ルナチタン」でできています。チタンとレアアースの合金だというから、すごい先見性があります。ただ、チタンとレアアースは、水と油のように混ざらず、今の科学技術の力ではこれらを上手く混合することはできません。しかし、ガンダムが動きまわる時代には、混ざらないレアメタルを混合して合金化する素晴らしい技術が開発されているという設定です。(初めてガンダムのストーリーが作られた)当時としては、すばらしい先見性があったと思います。
●実は今、有名な寺社仏閣はチタン屋根に
では、これは何でしょう。皆様、知っていますね。浅草の浅草寺です。昔は重たい“素焼きの瓦を”使っていたのですが、今は、この瓦は薄いチタン箔で出来ており、中は中空です。ただ、中空だとへこんでしまうこともあるので、中に木を入れています。見た目はとても重たい瓦のふりをしていますが、実はとても軽いものです。
チタンのような金属でつくると、ムラのない、のっぺりした、全く同じものが工業製品として出来上がります。ただ、それでは「素焼きの瓦“感”」が出ません。そこで、結構、手間がかかるのですが、わざとブラスト処理を変化させて色を何種類かに変えてランダムに仕上げ、意図的に色ムラをつけて重たい素焼きのふりをさせています。せっかくチタンなのに、“素焼きの瓦のふり”をしなければいけないのは、何かかわいそうですね。皆様は、今日を境にして、今後は浅草の...