悪化する日韓関係
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
態度を硬化させる韓国政府に対して日本の取るべき対応
悪化する日韓関係(6)日韓関係の今後
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
日本はこれからどのように韓国と向き合っていくべきなのだろうか。シリーズではこれまで、急激に悪化する日韓関係の背景と、その詳しい経過について解説してきたが、それを受けて最終話である今回は、日韓両政府の立場や姿勢から日韓関係の今後を考察する。また、韓国知識人の反応を紹介するが、そこから日本のメディア報道ではなかなか聞くことのできない興味深い考え方が見えてくる。困難な時代であるからこそ、双方の言い分を正しく理解して、理性的な行動をとっていく必要があるだろう。(全6話中第6話)
時間:7分55秒
収録日:2019年9月9日
追加日:2019年10月30日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本は態度を硬化させる韓国政府にどんな対応を取るべきか


 それではこの事態にはどのように対応すれば良いでしょうか。

 文在寅(ムン・ジェイン)氏とその政権の主眼は南北の融和と民族の統一にあり、その先には南北の協力強化と統一すら志向されていると思われます。また、自国の国力増加の認識と自分の国際的役割の高まりの自覚から、日本の地位と重要性は大きく低下しており、日本への妥協や譲歩の可能性はますます遠のいているといわざるを得ません。

 文氏の歴史問題へのこだわりは強く、1965年の日韓基本条約は日韓の国力の大きな格差の下で強制された不平等条約であるから歴史的に清算しなくてはならないとの信念は、彼の中に固く存在していると思われます。こうした信念は、2018年10月の大法院判決を「尊重する」という彼の発言に反映されています。文政権の底流には、1965年の日韓基本条約は全面的に見直すべきとの考えがあっても不思議ではありません。併合時代の日本帝国の統治の正当性を弾劾し、謝罪と全面的な賠償を請求しようという考えがあると思われます。

 一方、日本政府は、1965年の日韓基本条約は正当な国際条約であって、二国間の約束の遵守は信頼関係の基礎であると考えています。さらにいえば、この条約は1951年のサンフランシスコ講和条約の規定に基づいています。サンフランシスコ講和条約では、日本への賠償請求は大半の締結国が放棄しましたが、日本でなくなった、旧植民地といえる地域との請求権問題は、特別に取り決めを締結して解決すると規定されています。韓国とはこの規定を踏まえ、1965年に請求権協定を含む日韓基本条約を結びました。この協定を改定することは戦後体制を規定してきたサンフランシスコ講和体制の前提も崩しかねません。

 しかも、仮に日本が徴用工の個別補償に応ずると、請求権を一括して処理したことになっているアジア諸国で、賠償問題をあえて蒸し返すことにつながりかねません。日本としては断じてそうした展開は認めることはできません。

 このように考えると、日韓の直面する対立の問題には、文政権が続く限り解決の手がかりも可能性も見えにくいといえるでしょう。

 こうした状況と条件を前提にすると、日本が取り得る対応は、日本が国際条約を順守する法的正統性について国際的理解を可能な限り求める努力を行うということが挙げられます。その...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(3)国司と郡司のつきあい
郡司の妻たちと宴会!?……国司・大原真人今城へのはなむけの歌に記された「媚態表現」の真相と人心掌握術
上野誠
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(6)認知症予防と健康寿命の延伸に向けて
フレイル・サイクルは回り出したら抜けられない!?負のスパイラルへの対処法
小川純人
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
戦国武将の経済学(3)豊臣秀吉の経済政策
豊臣秀吉の驚愕の国内貿易…莫大な財力を生んだ経済政策
小和田哲男
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男