悪化する日韓関係
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
文在寅大統領はいったいどのような人物なのか
悪化する日韓関係(5)文在寅の台頭と国際政治経済
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
文在寅氏は、戦後韓国で一定の存在感を常に示してきた反日容共派の急先鋒で、彼の経歴や政治家としての実績が現在の強硬な政策に反映されていると、島田晴雄氏は指摘する。文在寅という歴史的に見ても非常に強硬な指導者を頂く韓国と日本との間に引き起こされた対立は、国際政治経済に多大な影響を及ぼし続けている。どのような変化が、われわれを待ち受けているのか、予断を許さない状況なのである。(全6話中第5話)
時間:10分12秒
収録日:2019年9月9日
追加日:2019年10月30日
カテゴリー:
≪全文≫

●文在寅氏は歴代の政治家の中でも特に強い反日容共派


 朴正煕(パク・チョンヒ)政権の日本利用の系譜がその後、全斗換(チョン・ドファン)、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政権への受け継がれていくのに対して、日韓併合を民族の屈辱と捉え、日本の戦争についての謝罪も賠償も不十分だと考える強烈な反日、そして必然的に親北朝鮮の流れがあります。彼らは、戦後の体制を日本に根本から反省させ、日本を利用しようとしてきた「保守派」を清算せねばならないと考えています。それは、尹ボ善(ユン・ボソン)、盧泰愚(ノ・テウ)、金泳三(キム・ヨンサム)、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)、そして文在寅(ムンジェイン)政権に受けつがれます。その系譜の中でも、文氏は特別に強力な反日、そして容共派といえます。

 単に思想的な信条だけでなく、彼の場合には、彼の理想を実現するために必要な、経済的そして国際政治的力量を持っていると、自分自身考えていることに起因しています。そして、それは単に画に描いた餅でなく、それなりの実績を挙げているという自信に裏づけられた行動に結びついているという点で、彼は先輩たちにはない強烈さを秘めているといえます。

 その背景の一つには、現在の韓国の経済力が彼の先輩達の時代とは比較にならないほど高まっていることがあります。1960年代には韓国の一人当たりGDPはおよそ日本の8分の1でしたが、近年では名目的には日本のおよそ85パーセント、実質的には同等以上と考えられています。サムソンなどの主要先端企業は、世界市場で大きなシェアを誇っています。

 もう一つは、親北派の悲願である南北対話を金正恩(キム・ジョンウン)委員長と手を取り合って休戦ラインを超えるという劇的な形で実現したばかりでなく、ドナルド・トランプ大統領に接近して米朝首脳会談の契機をつくったという自覚が、国際政治のリーダーとしての自己認識を形成しているということです。

 これらの経済的ならびに国際政治的プレゼンスの高まりは、相対的に韓国にとって日本の地位と重要性を低下させました。一方の安倍晋三首相は、日本憲政史上最長の首相になるなど、国内的また国際的リーダーとして強い自己認識を持っており、互いに容易に譲歩や妥協はしない、あるいはできない状況になっています。


●文在寅大統領の経歴と現在の政策への...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
MAGA内戦、DSAの台頭…過激化が完了した米国の現在地
東秀敏
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(3)DSA化した民主党と今後の展望
DSAの民主党乗っ取り工作…世代交代で大躍進の可能性
東秀敏
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
世界哲学のすすめ(1)世界哲学プロジェクト
日本発!危機の時代に始動する世界哲学プロジェクトの意義
納富信留