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急速に悪化する日韓関係を打開する方法はあるのか

悪化する日韓関係(1)日韓関係をめぐる3つの問題

島田晴雄
公立大学法人首都大学東京理事長/10MTVオピニオン副座長
情報・テキスト
ここ数年、日韓関係は悪化の一途をたどっている。積極的な文化交流などによって関係改善に努めてきた両国の間に、今何が起こっているのか。相互に複雑に絡み合ういくつかの争点に関して、島田晴雄氏が明快に解説する。初回の講義では、従軍慰安婦問題、レーダー照射問題、そして徴用工補償問題という3つの重大な論点に関して、原因と経過を簡潔に説明する。この説明を通じて、戦後の日韓問題の淵源を探っていこう。(全6話中第1話)
時間:12:01
収録日:2019/09/09
追加日:2019/10/16
≪全文≫

●日韓関係の急速な悪化は世界にも影響する重大な問題となっている


 皆さんと、急速に悪化する日韓関係について考えてみたいと思います。そして、これを打開する方法があるのかという点についても考えてみたいと思います。

 今、日韓関係は急速に悪化しています。例えば、従軍慰安婦問題、元徴用工個人補償問題、輸出管理規制強化、そしてついには軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を韓国が一方的に破棄するという事態にまで発展しました。事態がここまで悪化すると、日韓のみに限らず、北東アジア、世界にも影響する重大な問題となってきます。

 われわれはこの事態に関して、何が起きているのか、今後どうすれば良いのかという点に関して冷静な判断を持つ必要があると思います。そのためにはまず、急速な悪化の経緯を正確に知り、そして悪化の背景と意味を理解する必要があります。その上で、今後の対応について冷静な判断の手がかりを考えたいと思います。


●韓国国内の政権交代と従軍慰安婦問題の再加熱


 最初に、従軍慰安婦問題を取り上げます。日本から見ると、この問題に関して日本は完全に韓国に裏切られたと受け取られると思います。その理由として、慰安婦問題に関して日韓の間で「最終的かつ不可逆的」な解決として合意された事項があります。これに対して文在寅(ムン・ジェイン)政権が異論を唱えて、事実上両国間で達成された合意を反故にしたのです。

 具体的な経過を追うと、2015年12月28日に朴槿恵(パク・クネ)政権と日本政府が、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的」な解決に関して合意し、2016年7月28日には元慰安婦を支援する「和解・癒し財団」が発足しました。それを受けて日本政府は、8月24日に財団への10億円拠出を閣議決定しました。ところが、12月28日に韓国の市民団体が釡山の日本総領事館前に慰安婦を象徴する少女像を設置したのです。

 韓国政府は、日本政府と「最終的かつ不可逆的解決」に合意したのですから、合意に反するこうした行為は当然厳しく取り締まるべきでした。しかし、韓国政府は全くの無策だったのです。これは両国間の信義にもとる態度であるとして、抗議の意味を込めて日本政府は長嶺安政駐韓大使を一時帰国させました。

 しかし、2017年初頭の韓国は、朴大統領糾弾の大衆運動のために騒然としており、3月10日には韓国憲法裁判所が朴大統領罷免を決定しました。後日、大統領に就任した文氏はこの釜山の少女像を抱擁し、「彼女を寂しがらせないよう国民全体で慰安婦問題に取り組もう」と呼びかけたそうです。

 2017年5月10日に就任した文大統領は、11日に安倍晋三首相と電話で会談し、日韓合意について「韓国国民の大多数が感情的に合意を受け入れていない」との見方を伝えました。7月31日には、韓国外務省は慰安婦問題に関する日韓合意を検証する作業部会を省内に設置しました。12月27日、作業部会は「合意に非公開な部分があった」として、合意に否定的な報告書を発表します。これを受けて文大統領は合意に「重大な欠陥」があったとする声明を発表しました。2018年1月4日には、文大統領は元慰安婦たちと面会し合意について謝罪しました。

 このような文政権の言動によって、元慰安婦の一部や支援団体は、文政権が「合意」を破棄するのではないかという期待感を高めたと推察されます。文政権の康京和(カン・ギョンファ)外相は、2018年1月9日にこの問題に対する新方針を発表しました。日本政府に対して日韓合意の再交渉は求めませんでしたが、日本に対して「自発的な真の謝罪」を要請しました。この対応に韓国の支援団体らは不満の意を表明し、合意の破棄を改めて求めました。日本政府は、「合意」を無視してさらなる謝罪を求める韓国政府の要求には一切応じない、という立場を取っています。

 その後、知日派として知られる文喜相(ムン・ヒサン)韓国国会議長が、米国ブルームバーグ通信とのインタビューで、平成天皇(現在の上皇)が、元慰安婦の手を握って本当に申し訳なかったといえば、問題はすっかり解消される、と述べたと、同通信が明らかにしました。日本側はこの発言に非常に驚き、発言の撤回と謝罪を要求しましたが、彼はそれを拒否しました。韓国反日派の対日批判の強硬化はとどまるところを知りません。


●日韓の安全保障体制に影響を与えたレーダー照射問題


 そして、皆さんご承知の通り、2018年12月20日にレーダー照射問題が起こりました。能登半島西方海域で監視業務に従事していた海上自衛隊のP-1哨戒機に対して、韓国海軍駆逐艦(クアンゲト・デワン)から射撃管制レーダー(FCレーダー)が照射された事件です。

 現場海域では、海上自衛隊の哨戒機が、韓国の軍艦、海洋警察庁警備艦および小型船の作業を、約1000メートル程度離れた場所で見ていました。海上自衛...
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