知られざるロシアの情と理
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
歴史的な長期政権が続くプーチンの経済戦略
知られざるロシアの情と理(3)第4期プーチン政権
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
2018年に第4期目に突入したプーチン政権は、歴史的にも非常に長期的な政権ということになる。なぜ彼はこれほど長期間にわたって政権の座にあり続けているのか。第4政権の成長戦略とはいかなるものか。公立大学法人首都大学東京理事長の島田晴雄氏が論じる。(全6話中第3話)
時間:8分37秒
収録日:2018年8月22日
追加日:2018年10月20日
カテゴリー:
≪全文≫

●リーマンショックとプーチン大統領の復帰


 2008年9月にリーマンショックがありました。この年、ロシアの大統領の任期は当時、まだ4年で2期重ねて8年を過ぎており、3期はできないということで、ウラジーミル・プーチン氏は部下であったドミトリー・メドベージェフ氏を大統領にして自らは首相になりました。

 ところが、メドベージェフ氏に代わった途端に先述のリーマンショックが起こったので、この年の経済成長率はマイナス7.9パーセントと相当ひどかったです。しかし、その後、かなり頑張って挽回し、メドベージェフ時代は平均4パーセントの成長率を確保したのです。このメドベージェフ時代にプーチン氏は手を回して憲法改正を行い、大統領の任期を6年にしました。

 そして、プーチン氏は、メドベージェフ氏の任期4年が終わると「首相で4年過ぎたから自分が大統領になることができる」ということで進めたのですが、これには全国から批判が噴出しました。モスクワだけではなく、全国で大規模デモが行われたのです。オバマ政権の国務大臣だったヒラリー・クリントン氏が、「これは民主主義的な動きなので支持する」と公言しました。プーチン氏はこのことを非常に根に持っており、ヒラリー氏だけは許さないそうで、要するに、私の地位を脅かすそのような運動を後ろで先導したに違いないと、おそらく本気で信じているのでしょう。

 私たちはよく知っていると思いますが、2014年3月にクリミア併合を行いました。これは、武力を持って国境を変えるということですから、1928年に結んだ不戦条約の違反行為です。(不戦条約を結んだ)当時であれば、それに反対する諸国は当然、ロシアに攻撃を加えたでしょうが、その時はそうしたことは行われず、アメリカ主導で一斉に経済制裁を行いました。

 おそらくこの時の制裁が非常に強く効いて、2015年、2016年とロシアはマイナス成長となり、経済は縮小しました。2017年になってようやく落ち着きを見せはじめ、経済成長率は1.5パーセントです。

 ですから、プーチン政権が第1期、第2期の頃、7パーセントも経済成長を続けた時代に比べると、天国と地獄ほどの差があります。そして2018年3月、プーチン氏は大統領に当選し、第4期のプーチン政権が始まったのです。


●第4期政権の経済戦略~3つの目玉政策~


 第3期政権は2012年から2018年の6年間です。これは、つまり憲法改正...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
「中華民族の偉大な復興」と中国外交(1)外交姿勢・前編
四字熟語で見る中国外交の変化
小原雅博
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治