知られざるロシアの情と理
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
欧州の選挙に介入するロシアの強硬姿勢
知られざるロシアの情と理(5)欧米への介入強化
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
周辺諸国に軍事介入するロシアは、欧州と米国の大統領選挙への介入も取り沙汰されている。これに欧米はいかに対抗するのか。また、日本とロシアはどのように連携していくのか。公立大学法人首都大学東京理事長の島田晴雄氏が論じる。(全6話中第5話)
時間:11分08秒
収録日:2018年8月22日
追加日:2018年11月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●シリア介入と米露の対立


 それからロシアがシリアに軍事介入しました。ロシアとシリアには大変長い付き合いがあります。ロシアから見ると、シリアは地中海に出る際の非常に貴重な出口になっています。

 バラク・オバマ大統領は当時、アサド政権がレッドラインを越えたという報告を受けたという話をしていました。レッドラインとは、越えてはならない一線を越えた、つまり人民にサリンのような化学兵器を使用したということです。これに関して、国連の調査でも写真がたくさん出て、それによって子どもたちが死んでいることが分かったため、オバマ大統領に報告がいったのです。彼は「レッドラインを越えたら許さない」と言っていたのですが、なんとシリアを攻撃するかどうか逡巡したのです。議会に、攻撃するかどうかを問うたのです。アメリカ大統領は議会の承認を得ないで2カ月間軍隊を動かせる権力を持っているのに逡巡したということです。これに関しては、世界中から「だらしない。平和主義かどうかは知らないが腰抜けの大統領だ」といわれています。

 一方、ウラジーミル・プーチン大統領はすかさず介入しました。自分が片付けるということで、指導力を発揮してアサド政権に化学兵器を収めるようにと言いました。その後、ISが出てきた時も、ISを建前にシリアに軍事介入を行いました。これに対しては、アメリカも軍事介入しましたが、ロシアとアメリカは全く逆で、ロシアはアサド政権を支持して、アメリカはアサド政権を攻撃しました。

 ドナルド・トランプ大統領は過激ですから、2017年4月に突然、アサド政権の基地にトマホーク59発を放って、攻撃しました。世界中が驚いたのですが、アメリカはやるときはやるということをトランプ大統領は示したということでしょうが、ロシアにとってはふざけんな、ということで、両国は対立しているのです。

 そういうアメリカに対して、ロシアは2016年のアメリカ大統領選挙の時、サイバー攻撃で関与したのではないかという疑いが持たれています。もしサイバー攻撃によってアメリカ大統領選挙を妨害したとなれば、アメリカの民主主義に対する重大な攻撃ですから、これは大変なことですが、それをトランプ大統領が手引きしたのではないかという疑いを持たれています。いわゆるロシア疑惑で、現在アメリカのロバート・ミュラー特別検察官の調査が進んでいるということです。

 ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建