知られざるロシアの情と理
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
第二次世界大戦直後から見るロシア経済の変遷
知られざるロシアの情と理(2)ソ連崩壊とプーチン登場
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
公立大学法人首都大学東京理事長の島田晴雄氏は、2008年ごろにロシアを訪れたことがあるが、当時、プーチン大統領は「神さま」といわれるほど人気絶頂だったと言う。なぜ彼はかくも絶大な人気を誇ったのか。ソ連時代の経済低迷からの歴史的な展開を追う。(全6話中第2話)
時間:9分34秒
収録日:2018年8月22日
追加日:2018年10月19日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本では「理想の国」と描かれていた社会主義国ソ連


 第二次世界大戦直後のロシアは、日本では「理想の国」と描かれていました。特に社会主義に信奉する人たちは、ロシア方式がいいと思っていました。

 ここでちょっとしたエピソードをお話しします。ベルリンの壁が崩壊した直後に私はロシアと近隣諸国を回ったことがあるのですが、その時、ポーランドのワルシャワの広場に映画館が幾つかありました。その映画館では、常時上映している短い映画があるというので入場して観ようとしたのですが、次のような映画でした。ナチ・ドイツ(ナチス・ドイツ)がワルシャワの街を粉々にしている。そこで逃げ惑う人を火炎放射器で殺したり、いろいろなことをしているけれども、その後でロシア軍が入ってきて、ポーランドを解放する。そして、病院を建て、小学校を建て、公園を造り、理想の国をつくった、という映画です。

 ベルリンの壁が崩壊した時も、その映画を外国人に一生懸命見せていたのですが、日本の人たちもそのように思っていた時代があるということです。


●実際には生産性は向上しなかったソ連


 ところが、そうしたロシアという国の真実はどうだったかというと、共産主義の計画経済で、これは計画経済ですから競争がなく、人に勝とうというインセンティブがありません。インセンティブがないと技術革新は起きません。技術革新が起きないと生産性は向上しません。

 そこでこんなことが起きました。第二次世界大戦直後は、ソ連と西欧諸国の所得は大体同格でした。ところが、ベルリンの壁が崩壊して新しい時代になった時に、ロシアの所得は、中国もそうですが、欧米諸国に比べると30分の1から40分の1で、もう競争になりませんでした。なぜかというと、数十年間、生産性が向上してないからです。

 ロシア経済はそのような状況の中で、だんだんと困難に直面するわけです。特にレオニード・ブレジネフは、1970年代~80年代ごろにかけてロシアを支配していた人ですが、この時代、ロシアは硬直化しました。

 いろいろな矛盾が起きてきて、「これではたまらない。改革しなくてはいけない」ということで、その後、ミハイル・ゴルバチョフという人が現れて改革をするわけです。

 まず改革は「ペレストロイカ」といいますが、情報公開(グラスノスチ)をします。いろいろなことをやったのですが、全部空回りし...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦

人気の講義ランキングTOP10
AI時代と人間の再定義(7)AIと倫理の問題と法整備の可能性
人間のほうがAIに寄ってしまう?…関係性と倫理のあり方
中島隆博
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(1)言葉の正しさとは
「正しい言葉とは何か」とは、古来議論されているテーマ
中島隆博
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博
編集部ラジオ2026(2)「時代の大転換期の選挙」特集を解説!
「大転換期の選挙」の前に見ておきたい名講義を一挙紹介
テンミニッツ・アカデミー編集部
おもしろき『法華経』の世界(10)未来への智慧と希望
「未来応化=どんな未来も大丈夫」…ブレない臨機応変の力
鎌田東二
逆境に対峙する哲学(8)白隠の覚悟
宮本武蔵「型を捨てろ」と「守破離」が教えてくれること
津崎良典
これからの社会・経済の構造変化(4)日本企業の課題と組織改革の壁
日本の場合、トップダウンよりボトムアップで変えるべき?
柳川範之
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
徳と仏教の人生論(6)物事の本質を見極めるために
「境地は裏切らない」とは?禅の体験から見えてきたもの
田口佳史
会計検査から見えてくる日本政治の実態(3)戦後初となる補正予算の検査
繰越金が4割も…戦後初「補正予算の会計検査」の実態
田中弥生