世界史から見たウクライナ戦争と台湾危機
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ザマの戦いに勝利――スキピオの戦略的発想の転換に学ぶ
世界史から見たウクライナ戦争と台湾危機(3)持久戦から決戦へ――戦略的発想の転換
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
現在も続くウクライナ戦争は、このまま持久戦が続けば互いに消耗し、どちらが勝とうとも損失の大きい「ピュロスの勝利」になってしまう。そこで重要になるのは、紛争解決に向けて両者が歩み寄るタイミングだが、それはいつ、どのようにやってくるだろうか。ロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領を古代ギリシャ・ローマの人物と重ね合わせ、戦況の転換期を探る。(全5話中第3話)
時間:10分01秒
収録日:2023年2月28日
追加日:2023年4月12日
≪全文≫

●ウクライナがロシアとの和平を結ぶタイミング


 皆さん、こんにちは。第2話は、アネクドート、すなわちコメディアンであったゼレンスキーが一流の政治家になり、そして政治家であったプーチンが三流のコメディアンになったという話で終えたのですが、考えてみますと、このウクライナはまことに信じられないほどの苦境に立たされたわけです。

 ほとんど言いがかり同然、何もその根拠がない、いきなり軍事力で自分の家にズカズカと戦車が入ってきたわけですから、たまったものではありません。誰だってこういうときは大きなショックを受けますが、この信じられないほどの苦境に立ったときに、ゼレンスキーという人は、前任の大統領たちがおそらく果たし得なかったほど、彼らがむしろダメージを与えていた国の危機において、誰が仮にその場所にいても難しい仕事を今ゼレンスキーが進めているということについては、ほとんどの人々が敬意を持って見ているのではないでしょうか。

 ゼレンスキーが問われるのは、そのような、ある意味で一流の政治家として試練をくぐり抜けている彼が、いかなるタイミングで、そしてどのような条件のもとでロシアとの和平を結ぶのか、ということです。これは結ばざるをえないのです。永久革命、100年戦争をやるというようなことは全く不可能なことです。そうすると、どこかで欧米も武器をずっと援助し続けるわけにいきません。あるいは経済支援を続けるわけにもいきません。どこかでゼレンスキーは、ロシアとの間の紛争解決に入ってほしいということになります。このタイミングはどこかということになります。

 粘ること、あるいはとにかく徹底してロシアを打ち負かしていくために持久戦に持ち込んでいくこと、これが自己目的になりますと、アメリカ・ヨーロッパの力も尽きてしまいます。つまり、持久戦をやってロシアにダメージを与えたことで得られていた果実もまた、無駄なことになりかねないわけです。


●持久戦争を打破する決戦への戦略的な転換


 ちょうどローマ史において、ファビウスは執政官(コンスル)を何度も受けて、ローマ人たちをカルタゴとの戦いで勝利させていくためにさまざまな工夫をしていきます。その工夫の大きなものは、持久戦争へ持ち込むということでした。したがって、20世紀の兵学的な思想、日本陸軍の石原莞爾の言葉を考えると、ファビウスが考えているのは...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史
地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
小原雅博
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
米国派経済学の礎…ハミルトンとクレイ(1)ハミルトンの経済プログラム
フェデラリスト・ハミルトンの経済プログラム「4つの柱」
東秀敏
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(3)戦犯は児戯に類す――丸一陣地の死闘
「諸君、私を戦犯にするというが如きは児戯に類することである」
門田隆将
中国春秋戦国時代と始皇帝(6)秦の恵文王、昭王、荘襄王の時代
秦による中国統一への道…恵文王、昭王、荘襄王が行なったこと
鶴間和幸
日本の財政の真実を検証する(6)「経済成長3つの源泉」の具体策
現代日本で「経済成長3つの源泉」の具体的プランを考えると?
宮本弘曉
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(1)あらすじと賢治の原稿
未完の長編『銀河鉄道の夜』の魅力と宮沢賢治の思想に迫る
鎌田東二
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(3)全皇帝の4分の3は「非漢族」
6000万人の漢人が、三国志の戦乱後に400万人台に…衝撃の人口変動
宮脇淳子