世界史から見たウクライナ戦争と台湾危機
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
プーチンは三流コメディアン、ゼレンスキーが一流政治家?
第2話へ進む
ウクライナ戦争は何年続く…世界史が物語る戦争の不可思議
世界史から見たウクライナ戦争と台湾危機(1)長期戦の歴史と「ピュロスの勝利」
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻。両者の攻防は1年が経過してもなお続いているが、いったいこの戦争はどのような終結を迎えるのか。さらなる長期化の可能性を考えたとき、過去に長期化した戦争の歴史を振り返ることが重要である。フリードリヒ2世とマリア・テレジアの戦い、イラン・イラク戦争など、歴史的な戦争を参照しながら、「ピュロスの勝利」にも言及していく。(全5話中第1話)
時間:14分44秒
収録日:2023年2月28日
追加日:2023年3月29日
≪全文≫

●長期戦の歴史から見えてくる戦争の不可思議


 皆さん、こんにちは。現在、ウクライナ戦争についての問題関心というのは、私達日本人の多くの人々にとって、次のようなことではないでしょうか。すなわち、この戦争はいつ終わるのだろうか。あるいはどのような形で終わるのだろうか。

 この問題に関しては、歴史における時間という非常に重要な問題が含まれております。

 戦争の長期化を予想する人も非常に多いということでお気づきのことだと思いますが、歴史をひも解いてみますと、たしかにイギリスとフランスの間の100年戦争であるとか、あるいはウェストファリア条約の締結に至る30年戦争であるとか、あるいは7年戦争、プロイセンのフリードリヒ2世と、オーストリアのハプスブルク朝、マリア・テレジアとの間の領土問題から生じた、言ってしまうと18世紀の世界大戦というべき戦争、これらは7年間続いたわけです。

 こうした数字で示される戦争はいかにも大規模なものであり、そしてつい戦争の長期性、あるいは持続性というものを、必要以上に連想しがちであります。申すまでもなく、100年戦争といっても、毎日大規模な武力衝突がフランスのそこかしこで繰り広げられていたということではないわけです。

 そういう衝突が、毎日持続的に行われたわけではない以上、この100年戦争という言い方に違和感を持つ人もいるかもしれません。その反面、「天下分け目の戦争」と呼ばれた、日本における関ヶ原合戦でありますが、関ヶ原合戦は場合によっては戦国時代が再来するような大戦争に発展する可能性を誰もが予想しておりました。

 そして、少なくともこの戦争は月の単位、ひょっとして年の単位にまたがるのではないかという長期化の予想した人たちも多かったわけで、言ってしまうと、それは戦国時代の再来です。ちょうど、応仁の乱における東西の軍の対峙のように全国を巻き込むような、そういう月から年へと発展していく大規模な戦争になることも予想されたわけですが、実際の結果は、皆様ご承知のように、わずか1日足らずで終わってしまいました。

 この戦争について、全く独自の戦略観と独自の時間感覚で見ていた、例えば九州の黒田如水、あるいは中国から四国にかけては火事場泥棒的に領土を増やしていこうというような発想で、「東における徳川家康、西における毛利輝...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(9)ライトノベルへの影響と物語の重要性
現代のライトノベルやゲームにもオデュッセイアの影響…神話は「創作活動」の重要な根源
松村一男
「満洲」から考える日本とアジア(4)蒙古襲来と清朝建国
実は元寇はモンゴル人ではなかった?満洲をめぐる民族興亡史と「漢族」との関係…蒙古襲来から清朝建国まで
宮脇淳子
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
堀江重郎
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
法華経はSFだ!…心を元気にしてくれる法華経入門
鎌田東二
イノベーションの本質を考える(3)イノベーション事例
カシオのデジカメが起こしたイノベーション
楠木建
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子