世界史から見たウクライナ戦争と台湾危機
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
プーチンは三流コメディアン、ゼレンスキーが一流政治家?
世界史から見たウクライナ戦争と台湾危機(2)古代アテネとウクライナの比較
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
勝ったとしても得るものが少ない「ピュロスの勝利」の教訓は、長期化の様相を呈するウクライナ戦争にも当てはめて考えることができる。ロシアとウクライナ両国の市民や企業がダメージを負い、消耗していく状況を解説するとともに、昨今ヨーロッパで流行る古代アテネとウクライナ戦争の比較を批判的に分析する。(全5話中第2話)
時間:11分40秒
収録日:2023年2月28日
追加日:2023年4月5日
≪全文≫

●武器の有償・無償の問題と「ピュロスの勝利」の意味


 皆さん、前回(第1話)は、今のウクライナ戦争を考える上で「ピュロスの勝利(ピュロニアン・ビクトリー)」という言葉について少しお話ししました。

 どちらが勝ってもピュロスの勝利なのだろうというのはこういうことです。ウクライナは東部領土のもともと占領されていた2州に加えて他の2州を合わせた東部4州のかなりの部分が占領されたというダメージがあります。さらに、それに付随して産業が破壊されました。それから都市において企業やサービス業、情報産業、何であれその企業のビルが破壊されてなかなか稼働していません。すなわち、平和がよみがえったところですぐに国民が戻るべき仕事場があるわけでもないし、雇用があるわけでもないのです。

 そして工場が直ちに稼働するわけではありません。したがって、仮にウクライナが勝利という形式で終わったとしても、この勝利が、ただちに平和がよみがえるということや国民が戻るべき企業や工場がそこで健在だということを意味しないというつらさ、厳しさがあるわけです。

 武器にしましても、欧米から現実に無限の援助を必要としておりますし、戦闘機以外のたくさんの武器が、ほぼウクライナの希望する形で入ってきております。その中でも、特にウクライナ軍が習熟していた旧ソ連製の武器はほとんど使い果たしてしまいました。ここで使い果たすと、他のポーランドをはじめとする旧ワルシャワ条約機構の加盟諸国からも来ている旧ソ連製の武器も使い果たしていくということになり、結局、欧米からの援助の武器はたいへん最新鋭で頼もしい限りなのですが、それを学ぶために兵器の改造をしたり、技術を習得したりしなければなりません。この大変さもあります。

 戦争が仮に終わったとして、この武器の支援が有償なのか、無償であるのかということが、今、私たち日本人にも分かっていないのです。イメージとして無償供与をしているようなイメージを与えられていますが、そういうことは原理的になく、少なくとも全てに関して無償だということはあり得ません。

 ベトナム戦争が終わった時に、ベトナムの政府はソ連への有償供与(援助は無償ではなかったので)を返すために大変な思いをしました。外貨がありませんので、どうしたかというと、ベトナム人が労働に出かけていき、外国人労働者として旧ソ連で働いたと...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
日本を復活させる国家戦略(1)戦後の復興戦略と日本経済の凋落
「所得倍増」はなぜ成功したか…日本経済の回復のヒント
島田晴雄
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博
ハーディングとトランプ~100年前の米大統領選を読む(1)米国第一主義の台頭
1920年のアメリカファースト…ハーディング大統領の勝利
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(39)上野誠先生の万葉集講義と現代
【10min解説】万葉集に学ぶ「公務員倫理法」の大失敗?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(6)ピョートル大帝の宗教改革
王座に乗った革命家・ピョートル大帝の「宗教改革」と、ソビエト時代のロシア正教の「弾圧」と「利用」の実情
上月豊久
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望
「満洲」から考える日本とアジア(9)アヘンの実態と満洲開発
満洲国の開発とアヘン問題…アヘンが資金源となったのは事実だが「同時代の世界」と比較せねば真実はつかめない
宮脇淳子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠