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原発が攻撃されたらどうなる?被害の大きさと戦争リスク

原子力発電の戦争リスク(1)原子力発電所が攻撃されたらどうなるか

鈴木達治郎
長崎大学 核兵器廃絶研究センター(RECNA)教授
概要・テキスト
「ロシア軍によるウクライナ原発攻撃」という衝撃のニュースが飛び交った今般のロシア・ウクライナ戦争。原子力発電に関わる施設が武力攻撃を受けることで、一体どのような被害が起こり得るのだろうか。多くの原子力発電所を保有する日本にとっても重要な問題である原子力発電の戦争リスクについて、多様化する攻撃手段や戦争以外のテロリズムも踏まえて解説する。(全2話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
≪全文≫

●原子力発電所にミサイルが着弾したらどうなるのか


―― 皆さま、こんにちは。本日は鈴木達治郎先生に「原子力発電の戦争リスク」というテーマでお話をいただきます。鈴木先生どうぞよろしくお願いいたします。

鈴木 よろしくお願いいたします。

―― 原子力発電と戦争、あるいはテロのリスクということなのですけれども、今般もこのロシアによるウクライナ侵略で原子力発電所が占拠され、攻撃されるのではないか、どうなるのだという議論も起こっています。

 非常に初歩的な質問で恐縮ですが、原子力発電所に通常のミサイルが着弾した場合はどうなるのでしょうか。例えば、いわゆるかつて原爆が爆発したような核爆発が起こるのか、あるいはどういう被害が出るのか、そのあたりはいかがでございますか。

鈴木 原子力発電所の核燃料では、基本的に核爆発は起こりません。しかし、われわれが経験したチェルノブイリ原発の事故とか福島原発の事故のように、中に入っている大量の放射性物質が大気中に拡散してしまうという事故は起こり得るということです。水素爆発は起こりますが、核爆発が起こるということはないのです。大量に入っている放射性物質が拡散してしまう。これが深刻な事故だということですね。

―― そうすると、やはりイメージとしては、例えば広島・長崎のような被害というよりは、チェルノブイリ原発や福島第1原発のような事象が起こってしまうということですね。

鈴木 はい、それが起こってしまうということです。


●原爆より原子力発電所のほうが圧倒的に核物質の量が多い


―― 原子力発電所がそのような被害に遭った場合、何が一番のリスクになるのでしょうか。

鈴木 これも基本的にはチェルノブイリ原発や福島原発と同じなのですが、核物質は実は原爆よりも原子力発電所のほうが圧倒的に量が多いのです。

―― どのぐらい違うものなのですか。

鈴木 大体1000倍とか1万倍です。例えば、核兵器に入っている核物質の量は大体何キログラムあるいは何十キログラムというように、キログラムのオーダーです。ところが、原子力発電所に入っている核燃料はトンのオーダーです。それだけでも1000倍です。さらに出力が高いものになってくると、その10倍とか、もっというと1万倍、10万倍ぐらいの放射性物質が中に入っていることもありますので、量的に非常に多いのです。ただ、例えばチェルノ...
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