トランプ政権の中東政策
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
6ヶ国競合状態にある中東の鍵を握るのはイラン
トランプ政権の中東政策(5)中東で拮抗する6ヶ国
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
歴史学者の山内昌之氏が現在の中東におけるキー国家の関係について解説する。複雑な構図を持つアラブ世界において、その運命を決したり判断したりできる国はアラブ諸国にはない。今、中東情勢の鍵を握るのは、トルコとイラン、アメリカとロシア、加えてサウジとイスラエル。中東はこの6ヶ国の競合、協調、対立の中、微妙な均衡を保っている。(全5話中第5話)
時間:11分11秒
収録日:2018年6月21日
追加日:2018年7月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●トランプ大統領の手のうちを読み切っているプーチン大統領


 皆さん、こんにちは。

 ウラジーミル・プーチン大統領はドナルド・トランプ大統領と比べた場合に、なかなか単純な人物ではありません。トランプ大統領はいろいろなことを言っても、その行動や思惑からして何をするか分からないという意外性はありますが、さほど戦略的に練られた方策で動いているわけではありません。何より、プーチン大統領はトランプ大統領の手の内を読み切っているということがあります。ロシアは相当程度にトランプ大統領のさまざまな歴史、あるいは秘密、もろもろの要素を、おそらく押えているのだろうと思いますが、いずれにしてもプーチン大統領はトランプ氏の手のうちはお見通しであるという感があります。

 例えば、2018年4月にアメリカによるシリアの空爆がありましたが、その時にたまたまかどうか、シリアの首都ダマスカスを訪れていた人物がいます。それはロシアの政権与党である「統一ロシア」のアンドレイ・トレチャク書記長で、彼がシリアの首都を訪れて滞在していたという事実があります。

 実際、アメリカの軍事作戦はシリア問題を解決できず、現在もそのように情勢は進んでいるのですが、この書記長訪問は、トランプ大統領が行うという、その程度のスポットによる、しかも思いつきのような域を出ない作戦ではシリア問題は解決できず、アサド政権の化学兵器の利用も阻止することはできないということを、見越した動きなのです。こうした点について協議とアサド政権に対するテコ入れとして、トレチャク書記長はダマスカスを訪れたと、私は見ています。おおよそ、トレチャク氏はバッシャール・アル・アサド大統領を含めたバアス党関係者との調整、そしてロシアの分析などについて伝えたのだろうと思われます。


●シリアやイラクはもはや統一国家とはいえない状態


 中東には誠に悲しいことですが、戦争こそ日常であり平和は非日常であるという現実がありますし、またそのような言葉を使う人もいます。今後、中東の複合危機がますます深まることが予想されますが、アメリカの行動によって新たな構図ができ始めています。

 まずまとめておくと、シリアやイラクはもはや統一国家とは言い難いということです。私たちが使う地図にはシリアやイラクは枠組みとしてありますが、この枠組み、もともと第一次世界大戦後の戦争処...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗

人気の講義ランキングTOP10
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
逆境に対峙する哲学(5)阿頼耶識・大慈大悲・大智
大慈大悲の教え――なぜ仏像は怖い顔をしているのか
津崎良典
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
プロジェクトマネジメントの基本(4)スケジュール・マネジメント
スケジュール管理で重要な「クリティカル・パス法」とは
大塚有希子
内側から見たアメリカと日本(4)アメリカ労働史とトランプ支持層
ギャングの代わりに弁護士!? 壮絶なアメリカ労働史の変遷
島田晴雄
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(2)失敗の本質
『失敗の本質』初版から30年…同じ失敗を繰り返す日本組織
三谷宏治