イラン核協議最終合意の意味
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
イランのウラン濃縮に関する最終合意の中立的評価
イラン核協議最終合意の意味(2)中立的評価
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
イランのウラン濃縮に関わる最終合意について、歴史学者・山内昌之氏は、中立的評価があり得るのではないかと語る。アメリカとイランの関係再構築は、アメリカのグローバル戦略だけでなく、地政学上の大きな修正をもたらす可能性がある。しかし、そこには楽観的なことだけで捉えられない要素が含まれている。果たしてその要素とは? 山内氏が前回の肯定的評価と否定的評価に続き、中立的評価について語る。(後編)
時間:10分49秒
収録日:2015年8月5日
追加日:2015年9月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●アメリカとイランの関係再構築を揺るがす要素


 皆さん、こんにちは。

 今回は、前回のウィーンにおけるイランのウラン濃縮に関わる最終合意の続きとしまして、前回触れた肯定的評価、あるいは、否定的評価に近いのですが、中間的評価と申しますか、もう少し中立的な評価という立場があり得るのではないかということで、その点についてお話ししてみたいと思います。

 最終合意によりまして、確かに明るい材料がないわけではありません。すぐではないにせよ、アメリカとイランとの間が客観的にデタント(緊張の緩和)というものに発展する可能性は全面的には排除できない、つまり、そういう可能性も否定できないということであります。

 アメリカは、冷戦期のある旧思考から抜け出すことが長い間できませんでした。その旧思考とは、中東においてイスラエルとサウジアラビアを同盟国として絶対視するあまり、アメリカは、イランを潜在的、あるいは、顕在的な敵国として固定的に見るという考え方でありました。

 しかしながら、バラク・オバマ大統領の外交にポジティブな要素がもしあるとすれば、それは、この間のミャンマーとの国交正常化、キューバとの国交の回復、それに引き続きまして、イランという敵対国家との関係を再構築するという道に歩み出した一連の流れであります。これらが、オバマ大統領による米国のグローバル戦略の大きな修正であるとともに、地政学上の新しい大きな修正をもたらす可能性があります。

 しかしながら、中間的評価、あるいは、中立的評価と私が申したのは、なかなかにそういう楽観的なことだけで捉えられない要素が含まれているからであります。

 それは、7月14日のオバマ大統領の声明において、もしイランが核兵器を秘密裏に開発しようとしているならば、あるいは、核兵器の秘密の開発が実際に行われていることが近い将来露見した場合には、制裁が再適用されると明言したことです。そして、オバマ大統領は、軍事行動のオプションもその場合は残る、ということも併せて述べました。


●イランとアラブ諸国の対決にどう関わるか


 現在、イランとイスラエル、あるいは、イランとサウジアラビアとの対決が進行しています。そして、こうしたスンナ派のアラブ諸国に対して、ガーセム・ソレイマーニー将軍に指揮されたイランの革命防衛隊による軍事干渉が増大し、この革命防...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹

人気の講義ランキングTOP10
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
プロジェクトマネジメントの基本(8)要求の分類と価値の提供
新規顧客を増やす作戦と顧客リレーションを高める方法
大塚有希子
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(9)秀吉が作った公武統一政権と歴史のif
公武統一政権を作った秀吉の狙いとその歴史的意味
黒田基樹
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIは間違いが分からない…思考で大事なのは訂正可能性
中島隆博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
「進化」への誤解…本当は何か?(7)進歩思想としての進化論と社会進化論
適者生存ではない…進化論とスペンサーの社会進化論は別物
長谷川眞理子
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治