本番に向けた「心と身体の整え方」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「ピーキング」は本番まで“ギザギザ”で上げていく方法
本番に向けた「心と身体の整え方」(3)自信のつけ方と「ピーキング」
為末大(Deportare Partners代表/一般社団法人アスリートソサエティ代表理事/元陸上選手)
アスリートは「ピーキング」という手法を用いて本番に向けて準備する。しかし、どんなに準備しても、オリンピックのような大舞台では、勝負強いと思っていた自分の弱さを発見することになる。そのような状況で、身体面において彼らを支えるのは、「これだけやってきた」という自信と、「勝っても負けても自分はなくならない」という、ある種開き直りともいえる自信の二つだという。(全8話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分07秒
収録日:2020年9月16日
追加日:2021年2月2日
≪全文≫

●自分の拠り所を持つ


―― 例えば、試合後のインタビューで、選手が最後の最後に踏みとどまれた理由として「いや、自分より練習した人はいないと思っています」と言うことがよくあります。そういう拠り所を自分で作って、「いや、いろいろな相手がいるけれど、あいつよりも俺のほうがたぶん練習してきたぞ」と思うというのも1つの自信のつけ方だと思います。半面、練習をしすぎて調子を崩すというようなこともあると思うのです。例えば8月1日に競技があったとして、どうやってその8月1日にピークを合わせるか。ピークを合わせるという発想自体が、一般の方からは想像がつかない世界ではありますが、自信の部分も含め、どうピークを合わせるかというのは調整されるのですか。

為末 ピークについては、私たちは2つの観点で捉えています。1つは心理的なもの。もう1つは身体的なものです。

 まず、心理的なものとして、「自分より練習をたくさんしたやつはいない」ということが最後、自分の拠り所になるという話がありましたが、これは、必ずしも練習ではなくてもいいのです。何かしらの拠り所、自己暗示の方法として、カトリック系の国の選手の多くは、最後には、全ては神に委ねるので、「自分にできることは一生懸命やることだと信じていました」というコメントをよくします。

 これはそれぞれ文化圏によって違います。ただ、最後の最後、自分の意志で何々しようというのは弱い。何か外部のものとか、過去とか、もう少し大きなものとかに委ねて、「あっ、なんだ。ある意味で自分の力はそんなに大きくないのだから、とにかく一生懸命やる。結果の責任なんて僕にはとても負えないのだから、一生懸命やることにだけ集中しよう」と、ある意味で、心を整えて、範囲を広げすぎずに、やれることだけやろうと納得させる手段なのかなという気がします。日本人はそれを過去のトレーニング、練習量、過去の苦しさに拠り所を求めることが多い印象ですね。

―― 以前、オペラ歌手の方が、本番にうまく声が出せるかどうかというときに、キリスト教を信じている人だと、「それは神様が決めることなので、舞台に出たら歌うだけです」という発想だとおっしゃっていたのは、印象深かったですね。選手の場合もそれに近いということですね。

為末 そうですね。オリンピック、世界大会の1番になるとか、メダルを取るということが、全て自分の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(5)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈下〉
『武功夜話』は偽書か?…疑われた理由と執筆動機の評価
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
大人の学び~発展しつづける人生のために(1)「Unlearn(アンラーン)」とは何か
見方を変える!生き方を変える!そのためのアンラーン
為末大