本番に向けた「心と身体の整え方」
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本番に向けた「心と身体の整え方」(3)自信のつけ方と「ピーキング」
哲学と生き方
為末大(Deportare Partners代表/一般社団法人アスリートソサエティ代表理事/元陸上選手)
アスリートは「ピーキング」という手法を用いて本番に向けて準備する。しかし、どんなに準備しても、オリンピックのような大舞台では、勝負強いと思っていた自分の弱さを発見することになる。そのような状況で、身体面において彼らを支えるのは、「これだけやってきた」という自信と、「勝っても負けても自分はなくならない」という、ある種開き直りともいえる自信の二つだという。(全8話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分07秒
収録日:2020年9月16日
追加日:2021年2月2日
≪全文≫

●自分の拠り所を持つ


―― 例えば、試合後のインタビューで、選手が最後の最後に踏みとどまれた理由として「いや、自分より練習した人はいないと思っています」と言うことがよくあります。そういう拠り所を自分で作って、「いや、いろいろな相手がいるけれど、あいつよりも俺のほうがたぶん練習してきたぞ」と思うというのも1つの自信のつけ方だと思います。半面、練習をしすぎて調子を崩すというようなこともあると思うのです。例えば8月1日に競技があったとして、どうやってその8月1日にピークを合わせるか。ピークを合わせるという発想自体が、一般の方からは想像がつかない世界ではありますが、自信の部分も含め、どうピークを合わせるかというのは調整されるのですか。

為末 ピークについては、私たちは2つの観点で捉えています。1つは心理的なもの。もう1つは身体的なものです。

 まず、心理的なものとして、「自分より練習をたくさんしたやつはいない」ということが最後、自分の拠り所になるという話がありましたが、これは、必ずしも練習ではなくてもいいのです。何かしらの拠り所、自己暗示の方法として、カトリック系の国の選手の多くは、最後には、全ては神に委ねるので、「自分にできることは一生懸命やることだと信じていました」というコメントをよくします。

 これはそれぞれ文化圏によって違います。ただ、最後の最後、自分の意志で何々しようというのは弱い。何か外部のものとか、過去とか、もう少し大きなものとかに委ねて、「あっ、なんだ。ある意味で自分の力はそんなに大きくないのだから、とにかく一生懸命やる。結果の責任なんて僕にはとても負えないのだから、一生懸命やることにだけ集中しよう」と、ある意味で、心を整えて、範囲を広げすぎずに、やれることだけやろうと納得させる手段なのかなという気がします。日本人はそれを過去のトレーニング、練習量、過去の苦しさに拠り所を求めることが多い印象ですね。

―― 以前、オペラ歌手の方が、本番にうまく声が出せるかどうかというときに、キリスト教を信じている人だと、「それは神様が決めることなので、舞台に出たら歌うだけです」という発想だとおっしゃっていたのは、印象深かったですね。選手の場合もそれに近いということですね。

為末 そうですね。オリンピック、世界大会の1番になるとか、メダルを取るということが、全て自分の...

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