本番に向けた「心と身体の整え方」
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
オリンピアンが大事にする「乱れがちな心を取り戻す」方法
本番に向けた「心と身体の整え方」(2)実力を発揮するために
為末大(Deportare Partners代表/一般社団法人アスリートソサエティ代表理事/元陸上選手)
よく「実力を発揮する」というが、それはどういうことなのか。競技本番に臨む選手の心にはさまざまの思いが去来する。「自分より強い相手に勝てるのか」「勝てる試合なのに、失敗したらどうしよう」というのは、どんなに一流選手であっても「実力を発揮する」ために乗り越えなければならない壁だろう。そのときの考え方はいたってシンプルで、「コントロールできないものを意識することをやめて、コントロールできるものに意識を向ける」ことだという。(全8話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分45秒
収録日:2020年9月16日
追加日:2021年1月26日
≪全文≫

●「試合筋」のメリット、デメリット


―― 「集中するためにどうやって心を整えるか」というお話の中で、本番の期待値を上げ過ぎない、ある意味そこはギブアップするというお話がございました。そもそも、実力を発揮するというのはどういうことなのでしょうか。よく「火事場の馬鹿力」などと言って、スポーツ漫画の影響かもしれませんが、「本番になったら火事場の馬鹿力で」とか、信じられないような力が出て、急に勝ち抜くという物語があったりします。本番に臨むとき、本来はどういう心の整え方をしておくべきなのでしょうか。

為末 その点については、スポーツ界ではそれなりに整理されています。比較的単純な動作の競技であれば、「火事場の馬鹿力」があるといわれている一方で、身体を複雑に扱うものは「火事場の馬鹿力」が出てしまったら、せっかく「このくらいの力加減でこうやってやる」と決めて整えたバランスが崩れます。

 例えば、フィギュアスケートで、「このくらいの力で3回転」だったのが、いつもより力が出て、3回転半になってしまったけれど、しかも本人は分からない……。そうやって狂ってきてしまう原因になる力、試合のときにだけ出る力を、体操選手は「試合筋」といっていますね。ですから、「試合筋」は陸上競技であればいいとされている一方、体操では演技が狂うので悪いとされています。つまり、本番のときに力が出過ぎることがプラスに働く競技と、そうではない競技があって、「馬鹿力」に対しての捉え方が違うということですね。

 ただ、それを抜きにしても、普段からトレーニングをずっと積んできた選手が、本番のときだけとんでもない力が出るケースがあっても、1、2パーセント増し程度で、持てないはずのタンスが持てるみたいなことは起きません。いつもより力が出ればラッキーくらいに私たちは思っていて、どちらかというと、ほとんどの場合、”崩れてしまう”誘惑が多いので、それをどう排除するかのほうがよほど大事ですね。

 つまり、自分の集中力が乱れて、いつもの力の8割か9割しか出なかったとなるほうが圧倒的に多いので、そうならないような状態にすることで、たまにポンとはまって「火事場の馬鹿力」が出るという感じです。


●自分より実力のある相手と出会ったら……


―― なるほど。そうすると、特に一流同士の戦いになればなるほど、「この人はこのくらいの実力で、今の自分...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIは間違いが分からない…思考で大事なのは訂正可能性
中島隆博
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典

人気の講義ランキングTOP10
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
AI時代と人間の再定義(4)自分と出会うチャンス
人生はエネルゲイア――AIにない「自分と出会うチャンス」
中島隆博
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
これからの社会・経済の構造変化(2)経済的利益と社会課題解決の両立へ
利益か社会課題解決か…かつての日本企業の美点を取り戻せ
柳川範之
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
「進化」への誤解…本当は何か?(9)AI時代の人間と科学の関係
科学は嫌われる!? なぜ「物語」のほうが重要視されるのか
長谷川眞理子
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ