伊福部昭で語る日本・西洋・近代
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
日本のバイタリティと近代管弦楽の融合…伊福部昭の独創性
第2話へ進む
映画『ゴジラ』の作曲家・伊福部昭、知られざる経歴を追う
伊福部昭で語る日本・西洋・近代(1)チェレプニン賞に輝いた無名の作曲家
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
いまや世界的に広く知られる映画『ゴジラ』のメインテーマを創った作曲家・伊福部昭。彼は、最初から作曲家として順風満帆な人生を歩んでいたわけではなかった。今回はまず、彼を取り巻く環境と、彼の名が知れ渡ることになったきっかけ「チェレプニン賞」について解説する。(全8話中1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分07秒
収録日:2023年9月28日
追加日:2023年11月11日
カテゴリー:
≪全文≫

●世界的にも有名な映画『ゴジラ』


―― 皆さま、こんにちは。本日は片山杜秀先生に、「伊福部昭で語る日本と近代」というテーマでお話をいただきます。片山先生、どうぞよろしくお願いいたします。

片山 よろしくお願いいたします。

―― 伊福部昭という作曲家がどのような方かについて、まずこの曲から聴いていただきましょう。

 (音楽:『ゴジラ』のメインテーマ挿入)

―― ただいまの演奏は、「『ゴジラ』ライヴ・シネマ形式全曲集」、指揮は和田薫さん、日本センチュリー交響楽団の演奏でした。

 こちらは、いわずと知れた『ゴジラ』のメインテーマですね。

片山 そうです。皆さまがご存じかどうか分かりませんが、日本の映画音楽の中ではかなり有名です。ゴジラというキャラクターも、アメリカやヨーロッパなど世界的によく知られています。日本の映画では、一時期であればクロサワ(黒澤明)、ミフネ(三船敏郎)のほうが有名だと思われていた時代もあるし、今でもそうかもしれません。人によって、どういった映画を観ているかでずいぶん違うと思います。今であれば、スタジオジブリの宮崎駿さんのアニメ映画も世界的に、ヨーロッパなどでも大変観られています。

 そのような日本の戦後が生み出した代表的、大衆文化的なものとして、『ゴジラ』という映画の怪獣のキャラクターがある。これと一心同体のように、セットで知られているのが、ただいま聴いていただいた音楽です。


●日本の怪獣映画とセットで語られる作曲家


片山 『ゴジラ』は1954年に東宝が制作した映画です。これが当たったので、東宝は怪獣映画やSF映画をたくさん作るようになり、『ラドン』『バラン』『モスラ』など、いろいろな怪獣映画が作られました。『ゴジラ』もシリーズ化されて今日に至ります。

 その1954年の『ゴジラ』から、『ゴジラ』を初めとする東宝のいろいろな怪獣映画、SF映画の名前を申し上げました。もちろん伊福部さんに限らず、他の作曲家も映画音楽をいろいろな組み合わせで作られている。ですが、特に伊福部さんは、やはり『ゴジラ』とセットになる形で、東宝に限らず何本も『ゴジラ』を初めとする怪獣映画やSF映画の音楽を作られました。

 例えば大映であれば、ある世代の方は必ずご存じだと思いますが、『大魔神』という映画があります。あの音楽を手掛けたのも、伊福部昭さんです。そのよう...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
岡倉天心『茶の本』と日本文化(1)岡倉天心の生涯
岡倉天心の『茶の本』…世界に向けた日本伝統文化の発信
大久保喬樹
印象派の誕生~8人の主要な芸術家
マネ、モネ、ルノワール…芸術家8人の関係と印象派の誕生
安井裕雄
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
ピアノの歴史は江戸時代に始まった
野本由紀夫
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
音楽はなぜ時代を映し出すのか?…音楽と人の歴史の関係
片山杜秀
『源氏物語』を味わう(1)『源氏物語』を読むための基礎知識
源氏物語の基礎知識…人物関係図でみる物語の流れと読み方
林望
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
テンミニッツ・アカデミー編集部
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫