●おみくじの歴史をひも解く
―― 皆さま、こんにちは。本日は平野多恵先生に「おみくじの歴史」ということで講義をいただきたいと思っております。先生、どうぞよろしくお願いいたします。
平野 よろしくお願いいたします。
―― 今度、平野先生が吉川弘文館から『おみくじの歴史 神仏のお告げはなぜ詩歌なのか(歴史文化ライブラリー 583)』というご本を発刊される(2023年12月20日発刊)ということで、その内容に即した形で「おみくじ」の話を伺ってまいりたいと思います。
おみくじというと、よく皆さまは神社ですとかお寺などで引くということで、今回、まことに興味深いのが、大体この運勢を見まして、そこに書いてある「学問ならず」とか、「待ち人来たらず」みたいなものを見るのですが、おみくじは本来そこではないのだよというところから始まるわけですよね。
平野 そうなのですよ。皆さんおみくじというと、まず吉凶を見て一喜一憂する方が多いと思うのです。
―― これは末吉でございますけれども…。
平野 おみくじの歴史をたどっていきますと、神様のお告げをいただくというのがそのルーツにありまして、日本の神は和歌でお告げをしたという伝統があり、それが今のおみくじにも残っているといいますか、影響を与えているのです。
―― このおみくじでいうと、ここにまさに歌が書いてあるというところになるわけですね。これはおみくじによって場所が変わるところもあるとは思うのですけれども、だいたい、そういう和歌であったり、あるいは今日お話しいただく漢詩であったりが載っているという形になるのですかね。
平野 全部ではないのですけれども、「和歌のおみくじ」と「漢詩のおみくじ」が1つの大きな流れとしてあります。そのほかのものも、もちろんありますが、やはり歴史的にたどっていけるのは、和歌や漢詩のおみくじということになります。
―― ということですね。ですから、今回の講義では、まさに本のタイトルではないですけれども、なぜ和歌であったり漢詩であったりするのか。おみくじを「和歌で読む」というのはどういうことなのか。そもそも和歌が神様のお告げだというのはどういうことなのか。その辺りのことを講義でぜひ聞いてまいれればと思います。よろしくお願いいたします。
平野 よろしくお願いします。