『古今和歌集』仮名序を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
和歌の6種の修辞(六義)とは?…漢詩と和歌の比較
『古今和歌集』仮名序を読む(4)6つのスタイル
渡部泰明(東京大学名誉教授/国文学研究資料館館長)
「仮名序」では和歌の様式を6種に分け、それぞれの用例を挙げている。「そへ歌」は隠喩表現を用い、「かぞへ歌」は「物の名」の歌といわれるが、さまざまなものを並べあげる。「なずらへ歌」は縁語や掛詞を用い、「たとへ歌」もやはり比喩を用いる歌で、この2つは仮名序の中でも大事な位置を占めている。そして、それ以外の歌を指す「ただこと歌」とお祝いに送る「いはひ歌」をあわせて6種類になる。(全6話中第4話)
時間:13分09秒
収録日:2023年7月5日
追加日:2023年11月29日
カテゴリー:
≪全文≫

●和歌には6種のスタイルがある


 それ(和歌の特徴)がはっきりするのは、次の「和歌の6種の修辞(六義)」について述べているところです。見ていただきたいと思います。

 「そもそも歌のさま六なり。唐の歌にもかくぞあるべき。

 その六種(むくさ)の一つにはそへ歌。大鶺鴒の帝をそへたてまつれる歌。

  難波津に咲くやこの花冬ごもり今は春べと咲くやこの花
 といへるなるべし。

 二つにはかぞへ歌。

  さく花に思ひつくみのあぢきなさ身にいたつきのいるもしらずて
 といへるなるべし。

 三つにはなずらへ歌。

  君にけさ朝(あした)の霜のおきて去なば恋しきごとに消えやわたらむ
 といへるなるべし。

 四つにはたとへ歌。

  わが恋はよむとも尽きじありそ海の浜の真砂はよみつくすとも
 といへるなるべし。

 五つにはただこと歌。

  いつはりのなき世なりせばいかばかり人の言の葉うれしからまし
 といへるなるべし。

 六つにはいはひ歌。

  この殿はむべも富みけりさき草のみつばよつばに殿造りせり
 といへるなるべし。」

 6種類の歌の「スタイル」といってみましょうか。ここでは、歌の様式が6つに分類されているわけです。


●隠喩で表現する「そへ歌」


 その6種類の歌のスタイルの第一に挙げられているのが「そへ歌」です。そして、この「そへ歌」こそ、先ほど歌の父母のようなものと示された「大鶺鴒の帝の難波津にて皇子ときこえける時云々」とされていた王仁という人が詠んだ歌が挙げられているわけですね。

 ですから、これは歌の歴史を述べている途中で、その歴史に関わってその歌のスタイルを説明し、注釈していると考えられますし、そういう流れで見るべきだろうと思います。

 それからもう一つ。今、「注釈」ということを申しました。実はこの『古今和歌集』の「仮名序」にはすでに注釈がくっついています。その注釈は小さい字で、平安時代に書かれた注だと思いますので、これも「仮名序」の本文に含めて考える人もいるぐらいです。

 今回は、あくまで905(延喜5)年に成立した段階での「仮名序」の考え方を中心に考えたいので、平安時代にできた注の部分は全て除いてあります。「あれ?自分が見ている『古今和歌集』の『仮名序』と違うぞ」とお思いになった方は、そういう理由があります。

 さて、話を戻しま...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己
バッハで学ぶクラシックの本質(1)リベラルアーツと音楽
中世ヨーロッパの基礎的な学問「7自由学科」の一つが音楽
樋口隆一
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
音楽はなぜ時代を映し出すのか?…音楽と人の歴史の関係
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(9)ユダヤ人の多様性
ユダヤ人は一枚岩ではない…米国ユダヤ人のイスラエルへの違和感
鶴見太郎
「逆・タイムマシン経営論」で磨く経営センス(1)人口問題の本質
「逆・タイムマシン経営論」は本質を見抜くための方法論
楠木建
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
三日坊主、部屋が片付かない…なぜできないか行動分析学で考える
島宗理
編集部ラジオ2026(12)自転車の青切符と「法と自粛」
【10minで考える】自転車の青切符と「法と自粛」
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI時代と人間の再定義(2)仏法僧の三宝と対話による道徳的進歩
考えるとは相手の頭を使って考えること…共同で思考する意義
中島隆博
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀