クラシックで学ぶ世界史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
マーラーの交響曲はなぜそれほどまでに愛されているのか
クラシックで学ぶ世界史(10)マーラーと国民楽派
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
マーラーの人気は今やベートーヴェンに匹敵するほどだが、同時代の評価は今ほど高くなかった。彼の音楽が、当時残照を迎えていたハプスブルク帝国のさまざまな響きを映してやまず、ややもすれば混沌となることを恐れない複雑さを呈したからだ。(全13話中第10話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:11分48秒
収録日:2019年8月26日
追加日:2019年12月14日
≪全文≫

●国民としての「束ね」が必要になってきた近代の国家


―― 世界史的によく言われるのが、1918年、ウィルソン米大統領の訴えた民族自決の原則です。第一次世界大戦の途中でしたが、ここから民族自決の運動が発生するといわれています。

 芸術の世界で言えば、ワーグナーもそうですし、「国民楽派」と呼ばれる人たちも含まれます。また、チェコスロバキアのドヴォルザークやスメタナ、ロシアの「五人組」などですね。ロシアではムソルグスキーやボロディンなどが集まり、五人組を結成して、自分たちの芸術をつくっていきました。また、少し後にはなりますが、シベリウスのようにロシアからの独立を訴える音楽も出てくる。そのように、独立心や「民族の魂」を歌う芸術が、ヨーロッパ中で広まっていくということがありますね。

片山 そうですね。さかのぼれば、例えばモーツァルトの頃、ハプスブルク帝国ではドイツ語によるオペラをつくろうという運動がありました。国民というよりも、ハプスブルク帝国における政治が中心になって起こそうとした運動です。

 すでに国家として体をなしていた国においても、ナポレオンやフランス革命以降、同じ言語で同じ文化を共有する人間を国民として束ねると、労働力・戦力として強い力を発揮することが注目されました。やっぱり傭兵では頼りないし、人数も集められない。なるべく少しのお金で工場で働いてくれる人を大勢集めたいし、軍隊に命を懸けてくれる人をたくさん出すためにも、やはり「国民」単位でないといけない。

 それで、イギリスやフランスのような既成の国家が、「束ねる力」としてのナショナリズムというものを、言語ナショナリズムや、言語に伴う文化的なナショナリズムとして使ってきます。これはまた、ハプスブルク帝国がその矛盾を一番呈したところでもあります。まだ一般の人たちがそういう「民族意識」を持たない段階で、ハプスブルク帝国は、王と王の争いのようなかたちで、ハプスブルク家の当主が支配できる領域を増やしていったのです。

 ところが、これが片やオスマン帝国から、また片や民族色強く、北ドイツの言語と文化伝統で凝り固まったプロイセンによって圧迫されてくる。そうすると今までどおりにはいかないので、オーストリアのドイツ人としての文化、ドイツ語を中心にがんばらなくてはいけなくなる。そういうことで、モーツァルトやハイドンの時代...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
クラシック音楽で世界史がわかる…宗教音楽からクラシックへ
片山杜秀
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
真山仁の小説論(1)想像力と技術の不足
読み手の琴線に触れる技術が失われてきている
真山仁
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か
江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事
與那覇潤
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己

人気の講義ランキングTOP10
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
企業改革の核心は何か(1)組織の危機をいかに克服するか
V字回復のためには社員に「個人の痛み」を迫る覚悟を持て
三枝匡
編集部ラジオ2026(31)鶴見太郎先生の「公開収録」のご案内
【公開収録のご案内】鶴見太郎先生:ユダヤ人と世界史…その歴史の教訓とは
テンミニッツ・アカデミー編集部