クラシックで学ぶ世界史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ベートーヴェンの音楽を生んだフランス革命と動乱の影響
クラシックで学ぶ世界史(5)ベートーヴェンの時代-上
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
フランス革命を合図にしたかのようにウィーンの音楽界にデビューするのがベートーヴェンである。市民革命と革命戦争、ナポレオン戦争という長い動乱のさなかに「市民の時代」が確立、これまでにない刺激とテンションを音楽に求めるようになる。(全13話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:13分35秒
収録日:2019年8月26日
追加日:2019年11月9日
≪全文≫

●ボン出身のベートーヴェン、ハイドンに出会う


―― (ハイドンやモーツァルトの過ごした)端境期を経て、いよいよヨーロッパに革命の時代がやってきます。前回で、モーツァルトの亡くなったのがフランス革命の2年後という話がありましたが、皮切りはフランス革命でした。クラシック音楽の世界は、まさにベートーヴェンの時代を迎えます。

 ベートーヴェンは1770年に生まれて1827年に亡くなります。彼の一番有名な逸話は、交響曲第3番『英雄』についてでしょうか。もともとはナポレオン・ボナパルトに献呈するための作品だったのを、ナポレオンが(共和国の理想を裏切って)皇帝の座に就いたため、怒って表紙をグジャグジャグジャにして(献辞を)破り捨てたと言われています。実際、そういう楽譜も残っているそうで、伝説的に語られますけど、まさにその時代を象徴する話ですね。

片山 そうですね。ベートーヴェンはボンの出身です。ここはカトリックですが、ケルンの教会の領地になっています。

―― あの大聖堂のあるところですね。

片山 あのケルンの司教が支配しているエリアで生まれました。ボンは街道筋に当たるので、それなりに先進的なエリアではありますが、同じヨーロッパでもハプスブルク帝国やフランス、イギリス、プロイセンなどと比べると、少し取り残された感があるというか…。

―― 保守的な土地柄、ということですか。

片山 そうですね。そういうところで育った人ですが、フランス革命の年には19歳になっていました。ベートーヴェン家は、ボンのそれなりの音楽家の家柄です。だから、音楽の教育は早くから受けていて、とくにいわゆる鍵盤楽器(ピアノ)の大変得意な天才青少年として売り出そうとしていた。でも、ボンだと限られた世界になってしまうと危ぶんでいたときにハイドンと出会います。


●「市民の時代」の作曲家としてスタートするベートーヴェン


片山 当時のハイドンは、ハプスブルク帝国ではもう食べられなくなった時期で、ロンドンを2回長期滞在で訪れています。その帰路、ロンドンに行ったハイドンがウィーンに帰ろうとしてボンを通ったとき、ベートーヴェンが会いに行く。「こういう曲をつくっているので、弟子にして、ウィーンの音楽界で活躍できるようにしてください」と売り込みに行ったのです。

 個人の弟子がたくさんいてくれた方が生活が成り立つ時代なので、ハ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
岡倉天心『茶の本』と日本文化(1)岡倉天心の生涯
岡倉天心の『茶の本』…世界に向けた日本伝統文化の発信
大久保喬樹
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
ピアノの歴史は江戸時代に始まった
野本由紀夫
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
ケルト神話の基本を知る(1)ケルト地域と3つの神話群
ケルト神話とは…ダーナ神族、アルスター神話、フィアナ神話
鎌田東二
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(5)「チーム戦と新規ビジネス」の要点
「土地勘のあるところ、自分たちの武器を持っていく」
水野道訓
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子