ピアノでたどる西洋音楽史
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音楽家を「職人」から「芸術家」に劇的に変えた楽聖
ピアノでたどる西洋音楽史(5)「芸術家」ベートーヴェンの凄さ
野本由紀夫(玉川大学芸術学部芸術教育学科 教授)
楽聖ベートーヴェンの存在は、フランス革命を抜きには語れない。また、音楽を娯楽から芸術の地位に高め、音楽家を職人から芸術家へ、歌中心だった楽曲を器楽中心に発展させるなど、音楽史上に数々の革命的変化をもたらしたのも彼の功績だ。(全11話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:10分49秒
収録日:2019年9月4日
追加日:2019年11月22日
カテゴリー:
≪全文≫

●演奏会の静寂マナーは、ベートーヴェンに責任がある?


―― 前回はモーツァルトまできたので、今回はベートーヴェンですね。モーツァルトが子供のときから音楽をやっていたので、ベートーヴェンのお父さんがそれに憧れたのか、ずいぶん厳しく音楽修行をさせたという話が有名ですね。

野本 そうですね。実は、ベートーヴェンは「モーツァルト2世」みたいな感じ、「新しいモーツァルト」としてデビューしたんです。それこそ子供のときですが、「モーツァルト並みの天才が現れたぞ」というので、最初の演奏会をやったりしています。完全に意識をしていたことは確かです。

 ただし、どうもベートーヴェンはモーツァルトに直接会うことはできなかったようなんですね。というのは、モーツァルトは1791年に亡くなってしまいますね。1770年生まれのベートーヴェンは22歳になる1792年にようやくウィーンに行くのですが、モーツァルトはもう死んじゃっているんです。

―― ベートーヴェンは、日本ではクラシックというと、知らない人はまずいない存在です。まず出てくるのがベートーヴェンですが、だいたい皆さんが不思議に思うのは、「ベートーヴェンは何がすごいか」ということだと思うんですけど、先生はどのようにお考えですか。

野本 ベートーヴェンは音楽史上、最大の人と言っても過言ではない存在ですね。もちろん音楽もすばらしいんですけども、いろいろな点でベートーヴェンはすばらしく画期的だった人なんです。

 身近なことで言うと、演奏会に行ったら、とにかくおしゃべりもしちゃいけなくて、曲が始まったら静かに固まって聴いてなくちゃいけませんね。

―― 咳をするのも我慢するぐらいですね。

野本 それをしたのはベートーヴェンに責任があると言ってもいいんです。まさに「演奏中は、みんな黙って俺の曲を聴け」みたいな感じにしてしまったのが、つまり「娯楽」じゃなくて「芸術」だというふうにしたのがベートーヴェンなんです。


●「注文通り」ではなく「つくりたいもの」をつくりこむ


―― なるほど。それはモーツァルトまでの音楽とはけっこう違いますね。

野本 そうなんです。モーツァルトまでは「職人さん」だったわけです。給料をもらって、言われたようにつくる。言われたようにつくらなかったら、もう一遍書き直しというふうになっていたわけですから。

―― 「雰囲気が違います」...

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