ピアノでたどる西洋音楽史
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交響詩:「音楽+詩」で伝わる劇的なメッセージ
ピアノでたどる西洋音楽史(10)リストと交響詩
野本由紀夫(音楽学者/元玉川大学教授)
ピアノの魔術師として有名なリストも、ベートーヴェンを継ぐロマン派の一員だった。彼は「交響詩」という形式を発明し、メッセージのこもった音楽が国境を越えてより広く伝わることを願った。その成果はスメタナの「モルダウ」に明らかだ。(全11話中第10話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:7分20秒
収録日:2019年9月4日
追加日:2019年12月27日
カテゴリー:
≪全文≫

●ピアノの魔術師リストが交響曲で行った発明とは


野本 ベートーヴェンの六番からベルリオーズという人が現れますが、ベルリオーズの友だちというのが、ベルリオーズを入れて3人いました。前回お話ししたワーグナーと、彼の2歳年上で、これまた本当に大親友関係だった人に、リストがいました。

 このシリーズの最初に……。

<ピアノ演奏>

 リストの「愛の夢」第3番を弾きました。もちろんリストの場合は「ピアノの魔術師」として世界的に有名で、史上最高のピアニストだったと言われたりもします。ピアノ音楽ではショパンと並んで重要な人ですが、実はオーケストラのほうでも発明をした人なんです。

 それが何かというと、「交響詩」です。英語では"symphonic poem"、ドイツ語ではSymphonische Dichtungといいます。どういうものかというと、ベートーヴェンが始めた、音楽にタイトルを付けたり、感情を言葉で説明するような路線を拡大していこうという流れです。だから交響的な詩であり、つまり曲を説明する詩を書いちゃうんです。タイトルだけじゃなくて、詩まで書いてしまおうということを、リストは発明したんですね。

 ベートーヴェンにとってはあくまでも交響曲が音楽の最高峰でしたが、彼の到達した交響曲をさらに発展・進化させようとしたのが交響詩なんですね。より音楽と言葉が結びつく。歌うことはなくて、あくまで音楽はオーケストラがやるんですが、目で詩などを読みながら鑑賞するという新しいスタイルを発明したんです。

―― ベートーヴェンの第九は交響曲の中に歌を入れてメッセージ性を持たせたわけですけど、さらに文芸的な要素を加味していくわけですね。

野本 そうです。ベートーヴェンの第九の場合は歌ってしまうので、結局どこかの言語で歌うことになりますけれども、交響詩では歌わない文字を書いている。だから、何語に翻訳してもよくて、意味は変わらない。メッセージは何語であってもいいよということです。


●チェコの民族独立の思いが込められた「交響詩モルダウ」


―― (第九より)もっと普遍性が高い。

野本 そうなんです。よく音楽は世界に通じる言語であり、「国境を越える」みたいに言いますが、その場合の国境というのは言葉のことですよね。「言葉の壁」というのはどうしても大きいですが、オーケストラ(楽器)の音楽だと国境を越えることができるんです。そ...

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