ピアノでたどる西洋音楽史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ドビュッシーとマーラー:音楽の多様化と爛熟
ピアノでたどる西洋音楽史(11)19世紀後半から20世紀へ
野本由紀夫(音楽学者/元玉川大学教授)
ベートーヴェンの影響も絶大だったが、ワーグナーの影響力もそれに引けを取らない濃厚さがあった。最終回はドビュッシーやマーラーなど、19世紀後半から20世紀にかけて新しい流れをつくっていった音楽家の業績を追う。(全11話中第11話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:8分00秒
収録日:2019年9月4日
追加日:2020年1月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●脂っこいワーグナーの影響を乗り越えるドビュッシー


―― 前回は交響詩の形成についてうかがいました。その前の「トリスタン」の和音などに非常に影響を受けて、この少し後に出てくるのがドビュッシーですね。

野本 そうです。ワーグナーはドイツ人で、ドビュッシーはフランス人ですが、彼はワーグナーの音楽に一時期、ほんとに熱狂してしまったんですね。そのときに、

<ピアノ演奏>

「トリスタン」のような、今までの和音の規則に縛られない音楽もいいんじゃないかということに気がついていきます。しかし、やがてドビュッシーはワーグナーから卒業していきます。

 ワーグナーの音楽は非常に脂っこくて、たとえればバター1本の上にステーキをのっけて食べてるぐらい、すごく濃い肉食系の音楽という感じがします。ドビュッシーは、それに比べれば非常にあっさりした音楽をつくるようになっていくわけですが、そのときにもワーグナーの影響はあって、それを乗り越えていくことになります。


●従来の形式にこだわらず、音楽の多様性を取り戻す


野本 ドビュッシーがもう一つ影響を受けたのは、東アジアの音楽なんです。とりわけインドネシアのガムラン音楽にびっくりしました。というのは、パリでは万国博覧会が頻繁に行われ(日本でも、また大阪万博をやろうとしていますが)、いままでヨーロッパに暮らしていた人々が他のいろいろな異文化を知ることになります。そんななかでガムランの音楽をドビュッシーは聴いて、衝撃を受けたんです。

 つまり、「西洋音楽の規則に則らない音楽って、世界にはあるんだ」と、そこで初めて衝撃を受けた彼は、西洋音楽じゃないような感じで、規則に縛られない音楽をどんどんつくっていこうと考えたんですね。

 ヨーロッパの音楽は、それこそグレゴリオ聖歌以来、メロディがないと音楽にならないというふうに思われてきたんですけれども、ドビュッシーは、メロディなんて発展させなくてもいいと考えます。メロディを発展させるのはベートーヴェンが得意だったことですが、そういうドイツ音楽的なものでなくていい。断片がいっぱいキラキラ集まってできる、しかも今までの音楽の形式は関係ないような音楽をつくろうとしたのが、ドビュッシーだったんです。

―― そこでまた、西洋音楽の流れが変わっていくわけですね。

野本 そうなんです。とりわけモーツァルトやベ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
『ロビンソン・クルーソー』とは何か(1)読み続けられる18世紀の小説
なぜ『ロビンソン・クルーソー』は“最初の近代小説”なのか
武田将明
『古今和歌集』仮名序を読む(1)日本文化の原点となった「仮名序」
『古今和歌集』仮名序とは…日本文化の原点にして精華
渡部泰明
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
ピアノの歴史は江戸時代に始まった
野本由紀夫

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(9)「トランプ大統領」の視点・論点
【テンミニッツで考える】「トランプ大統領」をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(7)若者の引きこもりと日本の教育問題
日本の引きこもりの深い根源…「核家族」構造の問題とは?
與那覇潤
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(2)ノイズと半身社会の処方箋
ノイズを楽しむ――半身社会の「読書と教養のすすめ」
三宅香帆
「同盟の真髄」と日米関係の行方(7)トランプ氏の評価とその実像
こりごり?アイ・ラブ・トランプ?…トランプ陣営の実状は
杉山晋輔
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(7)日本の倫理こそ未来の理想
他人の幸福実現に喜びを見出す日本の道徳こそ未来の理想だ
賴住光子
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
新撰組と幕末日本の「真実」(6)新撰組結成と清河八郎、芹沢鴨
清河八郎と芹沢鴨…乱闘事件や大和屋焼討事件の真相とは?
堀口茉純