ピアノでたどる西洋音楽史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
自由・平等・博愛の理想を歌う「第九」の秘密と仕組み
ピアノでたどる西洋音楽史(7)現代に生きる「第九」
野本由紀夫(音楽学者/元玉川大学教授)
日本では年末の風物詩になって久しいベートーヴェン第九だが、そのメッセージは「自由・平等・博愛」というフランス革命の理想そのものだ。ベルリンの壁崩壊直後の演奏会では東西の演奏者が同じ舞台に上がり、「世界はひとつ」を実演して見せた。(全11話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:11分15秒
収録日:2019年9月4日
追加日:2019年12月6日
カテゴリー:
≪全文≫

●合唱だけではない、第九のすごさ


野本 ベートーヴェンのなかでも究極の曲といえば、何と言ってもやっぱり「第九(交響曲第9番)」が世界史に一番影響を与えた曲ではないでしょうか。

――第九は、ロシアのバクーニンでしたか、アナーキストでさえ「この曲だけは残す」と言ったという有名なエピソードもありますけれども。

野本 そうですね。

――日本だと、第九というと年末の風物詩的な。

野本 そうですね。日本ではもう年末の曲になってしまっていて、それもいい面がたくさんあるんですけれどもね。

――曲的に言うと、「すごさ」はどういうところにあるんですか。

野本 この交響曲は、とにかく音符の数がものすごく多い。それまでにベートーヴェンが書いた交響曲全部の音符を足したぐらい、この1曲であるんではないかというぐらいで、とにかく長大な70分ぐらいかかる大曲です。

 そして、この曲も「ジャジャジャジャーン」ではないものの、やっぱり統一しようとしているんです。統一とはどういうことかというと、ある部品から有機的に曲を生み出していこうという発想なわけですけれども、第1楽章は

<ピアノ演奏>

 このように始まりますが、「レ・ラ」という音で始まっています。第2楽章は

<ピアノ演奏>

 やっぱり「レ・ラ」でこの曲を始めようとしている。第3楽章

<ピアノ演奏>

 やっぱりこれも「レ・ラ」と始めようとしている。ここまででも、もうすでに1時間弱ぐらいかかっていて、それもすごいんですけれども。ところが、皆さんご存じの第4楽章は

<ピアノ演奏>

 「レ・ラ」で始まっていないんですね。今までこんなにこだわってつくってきたベートーヴェンがどうしたんだろう、と言うと、実は第4楽章は別の曲を無理矢理くっつけちゃったから、そんなことになっているんですね。もともとは「歓びの歌」の代わりに

<ピアノ演奏>

 やっぱり「レ・ラ」で始まる曲を書いていたんです。でも、それを追い出してしまって、「歓びの歌」を導入することになってしまったんです。


●第3楽章までを否定する重みと規模とメッセージ


野本 本来交響曲というのはオーケストラ「だけ」の曲のことをいうのに、独唱や合唱、いわゆる「声」を導入してしまった。本人としてはどうも納得がいっていなかったようなんですが、しかし交響曲に歌を導入したことは、結果的にはその...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(1)政治家・石原慎太郎の源流と核の問題
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿…対比で見えてくる現代的課題
片山杜秀
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
山上憶良「好去好来の歌」を読む(1)山上憶良に学ぶ国際感覚
8世紀を代表する知識人・山上憶良が感じたグローバリズム
上野誠
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠

人気の講義ランキングTOP10
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
伊福部昭で語る日本・西洋・近代(1)チェレプニン賞に輝いた無名の作曲家
映画『ゴジラ』の作曲家・伊福部昭が直面した「日本と東洋と西洋」そして「近代の超克」
片山杜秀
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
優れた経営者の条件(1)スキルとセンスの違い
経営者のセンスは担当者のスキルとは全く違う
楠木建
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
編集部ラジオ2026(38)アメリカ中間選挙と民主主義
【10min解説】第2期のトランプ大統領と中間選挙を考える
テンミニッツ・アカデミー編集部
武器としての「カーボンニュートラル経営」(1)カーボンニュートラルと日本の実状
カーボンニュートラル競争のゴールはコストを下げ切ること
夫馬賢治
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
歴史から考える「ロシアの戦略」(1)ロシアの基本戦略と行動
なぜウクライナに侵攻?弱小国を狙ってきたロシアの歴史
山添博史