ピアノでたどる西洋音楽史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ベルリオーズとワーグナー:メロディーに人物や物語を象徴させる大革命
ピアノでたどる西洋音楽史(9)いかに音楽で物語を描くか
野本由紀夫(音楽学者/元玉川大学教授)
ベートーヴェンを継いだロマン派のうち、田園交響曲の感情表現を重視した一派は「標題音楽」の流れを生む。ベルリオーズの「幻想交響曲」からワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」への変化は、音楽家の何を表していたのだろうか。(全11話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:12分04秒
収録日:2019年9月4日
追加日:2019年12月20日
≪全文≫

●「幻想交響曲」が生んだ「恋人のメロディー」とは


―― もう一方で、先ほどの「六番」の流れもありましたね。

野本 (ベートーヴェンの)五番と六番で対抗して、どちらを取るかで争っていたロマン派ですが、六番の交響曲のように、自分でタイトルを付け、何を表現しているか字で書いちゃいましょう、という系列を「標題音楽」と言います。

 これは「物語音楽」とはちょっと区別しなくてはいけなくて、音楽をどういうふうに書いたかを言葉で説明する。物語があって、それを音楽にするというよりは、音楽を言葉で説明するんですが、その最初の人がベルリオーズ。とりわけ「幻想交響曲」です。

 この交響曲では、「このメロディーは、これを意味するというのを決めちゃえ」ということをしました。それが…。

<ピアノ演奏>

 これを「恋人のメロディー」と呼んでいるんですね。このメロディーが出てきたら、常に恋人を表しています。つまり、意味とメロディーを一致させることをやったんです。これを「固定楽想」、フランス語で"idée fixe"(イデー・フィクス)と言います。そういうことをやって、これをアレンジしていくことで、「恋人がどんな姿になっているか」を想像させようということなんです。たとえば第5楽章になると…。

<ピアノ演奏>

 こんな感じに変わってしまうんですが、なんかちょっと下品な感じがしますね。実は魔女になっちゃったんです。

―― これも、すごい話ですね。

野本 そうですね。彼氏に殺されてしまって、魔女になってしまったという様子を表している。そういうふうに、同じメロディーでもアレンジを変えるといろいろな感情表現ができるじゃないか、ということに気がついたのがベルリオーズだったわけです。

―― 人を象徴するメロディーをつくって、それをいろいろ変えることによって、象徴する人物が喜んでいるのか、悲しんでいるのかを表現した。

野本 どういう環境に置かれているのかなどが想像できる、ということをしたんですね。


●ワーグナーの発明した「ライトモチーフ」


野本 ベルリオーズの大親友だった人にワーグナーがいて、オペラが得意な方でした。彼は、「恋人だけじゃなく、もっといっぱいつくっちゃって、全部、意味を決めてしまえば」みたいにしたんです。たとえば…。

<ピアノ演奏>

 これを「剣」のモチーフにしちゃえば? という具...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(1)政治家・石原慎太郎の源流と核の問題
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿…対比で見えてくる現代的課題
片山杜秀
深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(1)シェイクスピアの謎
シェイクスピアの謎…なぜ田舎者の青年が世界的劇作家に?
河合祥一郎
『源氏物語』ともののあはれ(1)雅な『源氏物語』の再発見
『源氏物語』の謎…なぜ藤壺とのスキャンダルが話のコアに?
板東洋介
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
印象派の解体と最後の印象派展(1)セザンヌと印象派
印象派の画家に大きな影響を与えたセザンヌの構築的筆触
安井裕雄

人気の講義ランキングTOP10
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(4)情報と教養の違い
教養がおろそかな人の限界…「教養は頭の中に、情報は頭の外に」
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
飽食時代の「選食」のススメ(1)選食の提唱と「食の多様性」
肥満、認知症、低栄養…飽食の時代に大事な「選食力」3カ条
堀江重郎
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(8)AI時代の人間の価値
労働市場改革を妨げる労組や、不登校を救えぬ文科省こそが邪魔だ
宮本弘曉
ウェルビーイングを高めるDE&I(7)エクイティ実現と特権性の理解:後編
パワハラもコンプラも…企業内エクイティで大事な「境界線」
青島未佳
AI時代と人間の再定義(2)仏法僧の三宝と対話による道徳的進歩
考えるとは相手の頭を使って考えること…共同で思考する意義
中島隆博
編集部ラジオ2026(17)「過剰な良かれ」の落とし穴
【10minで考える】巨人・阿部監督の辞任と「過剰な良かれ」
テンミニッツ・アカデミー編集部
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
睡眠不足が生活習慣病や精神疾患を招く…睡眠の5つのミッション
西野精治
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(2)厳格な一神教と選民思想
一神教とは、選民思想の真相とは…ユダヤ教の「最終目的」を考える
鶴見太郎