ピアノでたどる西洋音楽史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
きれいなメロディをパッと思いついてしまう天才
ピアノでたどる西洋音楽史(4)モーツァルトの天才性とは?
野本由紀夫(玉川大学芸術学部芸術教育学科 教授)
5歳で作曲デビュー、天才児の名をほしいままにしたモーツァルトは、音楽によって人を楽しませることを最大使命とした。オペラや交響曲に惜しみなく注ぎ込まれたメロディライン。「こんな発想はなかなかできない」というようなことを、パッと思いついてしまうのがモーツァルトだった。(全11話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:8分40秒
収録日:2019年9月4日
追加日:2019年11月15日
カテゴリー:
≪全文≫

●人々を楽しませることを重要視し、ドイツ語オペラにも挑戦


――前回、モーツァルトはどちらかというと交響曲を軽く見たというか、儲けにならないためオペラやピアノ協奏曲を大事にしたというお話をうかがいました。今回は、モーツァルトの曲の特徴についてうかがわせてください。

野本 そうですね。モーツァルトは、人々を楽しませることを、一番、重要視していたのではないのかと思うんですね。オペラは、ドイツに行ってもイタリア語のまま演じたりしますから、知的レベルの高いインテリでないと難しいところもありますが、それでもモーツァルトは音楽や芝居で喜んでもらえるように音楽をつくろうとしたわけです。

 たとえば有名なオペラに『フィガロの結婚』などがあります。

<ピアノ演奏>

 これはモーツァルトのオペラ『フィガロの結婚』の中のアリアで、「ケルビーノのアリア」というものです。いわゆる小姓が伯爵夫人にちょっと恋心を持っちゃう。おませさんなのですね。そういう曲だったりしますが、曲だけで心の弾む感じが伝わってきてしまう、ということですね。

 オペラというのはもともとイタリアで生まれたわけですからイタリアで発達し、今でも「歌の国イタリア」と呼ばれ続けています。

――そうですね。後世になりますが、ヴェルディやプッチーニが作曲した有名なオペラがありますね。

野本 そうなんです。ロッシーニとか、いっぱいいまして、オペラはイタリア語で歌うものとして発達したんですね。ところがモーツァルトは、ドイツ語でもそれができるんじゃないかということに、果敢にも挑戦した人なんですね。

――イメージで言うと、たとえば歌舞伎は当然日本語でやっていますけど、それが韓国語なり中国語でやるのと似た発想ということですか。

野本 そうですね。モーツァルトの挑戦したドイツ語は、やたらと子音が多い。だから歌には乗りにくい発音だと思われて、オペラには使われてこなかったんです。彼は、ドイツ語の『魔笛』という歌芝居に曲をつけます。これはおとぎ話みたいなお話で、王子様がお姫様を助けにいく。そのなかでいろいろな試練があるという楽しいお話ですけれども、非常に優れた曲をつけ、大ヒットしていくわけです。


●思いついた美しいメロディをメドレー的につなぐ


野本 このように、モーツァルトは人を喜ばせることが好きだった。じゃあ、交響曲はとい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
和歌のレトリック~技法と鑑賞(1)枕詞:その1
ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?
渡部泰明
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(1)万葉集の歌と中国の影響
『万葉集』はいかなる歌集か…日本のルーツと中国の影響
上野誠
百人一首の和歌(1)謎の多い『百人一首』
『百人一首』の歌が選ばれた理由とは?今も残る3つの謎
渡部泰明
『古今和歌集』仮名序を読む(1)日本文化の原点となった「仮名序」
『古今和歌集』仮名序とは…日本文化の原点にして精華
渡部泰明
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
音楽はなぜ時代を映し出すのか?…音楽と人の歴史の関係
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(3)プロジェクトのすすめ方
PDCAサイクルを回すための5つのプロセスとそのすすめ方
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国共産党と人権問題(2)中国共産党は超法規的存在?
国家の上に存在する中国共産党はどのような組織なのか
橋爪大三郎
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑